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カムイ伝講義: カムイ伝のむこうに広がる江戸時代を読み解く (単行本)

カムイ伝講義: カムイ伝のむこうに広がる江戸時代を読み解く (単行本)

カムイ伝講義: カムイ伝のむこうに広がる江戸時代を読み解く (単行本)

作家
田中優子
出版社
小学館
発売日
2008-10-01
ISBN
9784098401130
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カムイ伝講義: カムイ伝のむこうに広がる江戸時代を読み解く (単行本) / 感想・レビュー

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出世八五郎

カムイ伝を舞台に登場する江戸時代の背景や統治システムを詳述してる。乞胸や穢多非人、綿花と蚕、肥料、一揆、海民、山民、マタギやサンカ、子供と女性、医療などを章立て解説。石川英輔の著作で江戸好きとなりましたが氏の著作と違い、本書は江戸の負の側面にも触れてるので、江戸時代の見方が一変する。漫画と違い穢多非人は、必ずしも差別対象には思えず、誰かが従事しなければならない仕事を固定で押付けられてたに過ぎない。以前、台詞のない屠畜ドキュメンタリーを見ましたが、無知ゆえ“穢れ”を感じた。それと似た感覚による意識だと思う。

2016/02/12

ヴェネツィア

購入してから、ほぼ1年間「積読」状態であったが、この度ようやく読了。「積読」も効果絶大。あの時に購入していなければ、読むことがなかっただろうから。実に優れた良書である。しかも、その元になった『カムイ伝』が、これほど雄大で緻密な構造を持っていたことを、本書によって知ることができた。『カムイ伝』は江戸の日本ばかりか、当時の世界ともリンクしているし、それはまた現代の我々の問題でもある。

2012/02/27

AICHAN

図書館本。「カムイの持ち続けるものは“自由”ではなく“批判”のエネルギーである。『カムイ伝』は江戸時代を舞台にしながら、その向こうに近現代の格差・階級社会を見ている。21世紀にもなって、この日本は驚くほど変わっていない。ちゃんと階級もあり、格差までますます健在だ」。著者は大学教授で、漫画『カムイ伝』をテキストにして江戸時代を講義した。この本はその過程で生み出された。江戸期の百姓・漁民・商人、被差別階級などについて克明に描く。身分制社会でも人は批判精神を持っていたと知った。こういう講義なら私も受けたい。

2016/05/18

ちゃま坊

自分の中の江戸時代の何割かは漫画「カムイ伝」でできている。頭の中に絵として江戸が記憶されている。司馬遼太郎「菜の花の沖」で夢屋七兵衛を、「胡蝶の夢」で浅草弾左衛門を思い出していた。武芸や残酷シーン以外の部分でさまざまな問題を提起している。この時代の農学、医学、解剖学、薬学、動物学の知識も入っている。商品作物の肥料としての漁業、商品流通の海運業、死体処理を行う人たちの身分制度、医学の発達、さまざまなテーマがこの書から拾い出せる。社会学者田中優子氏が詳しく解説。

2018/12/10

noémi

何年も積読状態の本だった。だが、最近差別がテーマの小説を読んで気になり読了した。江戸時代を既成の概念と全くの視点で詳しく解説しているのが新鮮。現代は格差社会で競争原理主義だ。それは江戸時代の身分制を未だに引きずっている証しなのだ。貧しい武士もいれば、裕福な百姓もいる。改易になって生計手段を絶たれた武士は、身分を捨ててアウトカーストの非人や、穢多身分にシフトすることも多かったとか。その中には実際には非常に裕福な人もいた。江戸時代は、基本的に身分を踏襲することはできたが、出世の如何は現代と同じ実力主義だった。

2013/11/18

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