劇光仮面 (1) (ビッグコミックス)
劇光仮面 (1) (ビッグコミックス) / 感想・レビュー
トラシショウ。
「これで怪人と言えるのかな」「金髪くん。それは完成した映像の中で表現出来る事だよ」「猟銃とか鉈はそこに「在る」だけでおっかないじゃないか。怪人だってそうあるべきじゃないか」。二十代後半でアルバイトの実相寺二矢(おとや)は大学の「特美研」の仲間だった切通の葬儀に参列する。かつて特撮美術=特美を崇拝、敬愛していた仲間達が就職し安定した生活を求めて生きる中、空洞の生を送る二矢は深夜、遺言に従い仲間と共に切通への風変わりな追悼式を執り行う。異才を放つ作者の新作は、正直まだまだ助走、という所か(以下コメ欄に余談)。
2023/04/17
サケ太
かなり、面白い。何が?と問われると少し困る。特撮をモチーフに大学時代の青春、歳を重ねた現在の状況を交差させつつ物語られる、仮面のヒーロー。伏龍が出てきたときは、おおっと感じつつ、そこに美を感じる主人公に共感してしまう部分もあった。確かな漫画力で活写される人々。現実と空想。不穏なワードも残しつつ、どのような方向性に舵をとっていくのか気になる作品。
2022/06/02
ぐうぐう
異様な物語だ。始終不穏で満ちている。そのただならぬ気配が実は気配ではなく、実体として描かれていることで、ヒリヒリとさせられつつもページをめくる手を止めることができない。特撮作品におけるスーツに情熱を注ぐ若者達の、その尋常でない本気度が超人や怪人を架空世界だけに存在することを許さなくさせていく。主人公である実相寺二矢の「実相寺」には特撮愛を覚えるが、「二矢」という名が山口二矢から来ているとなれば、不穏さは一気に加速する。
2023/01/29
のれん
この作者は鬼気迫る作風が魅力。強靭な肉体を描いているのに耽美があると言えば良いのだろうか。 登場する特撮は分かりやすい元ネタがあり、かの戦争に対する狂気やメッセージを伝える。そこまでなら良くあるテーマだが、今作はさらに一歩踏み込んで、善性の恐怖を描く。 何物にもなれない不適合者は透き通った自己犠牲でしか、社会に関われないとしたら。伏龍のように、イカれた世界でしか英雄になれないとしたら。愚かで哀れで屈強な姿に悲しみながら憧れる。とても儚げな英雄譚だ。後ろ暗さを肯定する作者の集大成。三島由紀夫を思い出す。
2022/06/05
空のかなた
特撮好きの若者の話?でも何か底辺に漂うものが違うようで最初は拒絶感が強く読み進められなかった。虚構と狂信的な自意識と現実がぐちゃぐちゃに入り混じっている。後半の特攻隊?人間兵器?のあたりは、若い兵士の苛性ソーダの逆流による無残な死の様子を含めてリアル。この先どんな展開となるのか、想像が付かない。劇光仮面とは本当に存在するのか、存在させるのか。
2023/05/09
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