村上朝日堂 (新潮文庫)
村上朝日堂 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
村上春樹のエッセイは初読。これは、1980年代の初め頃に『日刊アルバイト・ニュース』に連載されていたコラムを収録したもの。30年も前のものだが、ところどころに時代的な齟齬はあるものの、ほとんど古びた感じはしない。「まるで苦労のあとというものが見受けられない。いくら苦労を見せないのがプロと言われても」―これは、本書の挿絵を担当した安西水丸に向けて語られたものだが、そのまま村上春樹にもあてはまりそうだ。全編、気楽に軽やかに語っていて、苦労の跡は見えない。それでも、実は案外に苦労していたのかもしれないが。
2012/07/04
ハイク
著者のエッセイは数冊読んでいるが、この本は気軽に読めて1編が2頁でありすぐ読めてしまう。彼の小説と比べると平易な文章で同じ人が書いたとは想像出来ない。1984年出版なので内容は1970年代頃の世相が所々滲み出ている。話題は引越し、電車の切符、昆虫、食べ物等広範囲にわたり著者の観察力が鋭くまた面白い。最後に水丸氏との対談も載せてあり千倉海岸での朝食や夕食は今では高級となったあわび等食べ放題で羨ましい限りだ。又同じ対談で二人の結婚観等述べているのも面白い。少し時間があり退屈している時には持ってこいの本である。
2015/03/18
masa@レビューお休み中
はじめて、村上春樹作品を読み切ることができました。今まで、敬遠していた作家さんで、何度も途中で挫折していたんですよね。ところが…そうやって、読めない、苦手と言っていると救いの神が現れるものですね。村上さんの作品でも、これは読みやすいよとオススメをされたのです。ちょうど、イラストを手がけた安西水丸さんがお亡くなりになった後で、この本に出会うことができました。村上さんがまだ30代のときに書かれたエッセイなんですね。村上さんのイメージがいい意味で裏切られて良かったです。ちょっと親近感すら湧いてきちゃいました。
2014/03/31
kinkin
昭和59年に発表された本の文庫版。村上春樹氏の身の回りのことについて2ページで1話で構成されている。氏の話はアルバイトについてから始まる。学生時代ジャズ喫茶でバイトしていたそうで当時の物価などもわかって楽しい。ヤクルトスワローズのファンは今もそうなのだろうか、食物の好き嫌いは今も同じだろうか・・など楽しみながら読了。氏の小説は苦手だけどエッセイは面白くて好きだ。小説が面白くないというわけではないが自分には合わないということだろう。『村上朝日堂の逆襲』は読んでいたのでこの本も読んでいたと思い込んでいた。
2020/08/11
mura_ユル活動
図書館本。コットンさんからの紹介で。ありがとうございます。エッセイ集でしたね。安西さんの挿絵付。「日刊アルバイトニュース」に掲載したものをまとめたもの。絵が文章とタイアップしていて、挿し絵が 先行しイメージを決定付けている。国鉄の切符やアルバイト時給500円など古さは否めない。今、住んでいる隣の駅にも居らした時期があったんですね。自分はまだ生まれていないけど。エッセイの内容について、結構、男ってこのようなものの考え方をすると思うけど。「世界の終わり~」も借りてきたので読んで見ます。
2013/09/16
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