村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫)
村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫) / 感想・レビュー
ehirano1
当方は村上春樹の著書で初めて読んだのが”ねじまき鳥クロニクル”でした。村上春樹は”何かのメッセージがあってそれを小説に書く”のではなく”自分の中にどのようなメッセージあるのか探し出すために小説を書く”とのことだそうです。そういう視点で著作を再読してみようと思いました。
2016/04/02
mura_ユル活動
箱庭療法の心理学者河合隼雄さんと村上さんの対談集。1999年の発行。時期的には、『ねじまき鳥クロニクル』の第三部が出版された後くらいでしょうか。話題は当時の事件などを話題に心理学を絡ませる。理解度70%いかないかな、「むずむず」は、ほぐれない感じ。羊をめぐる冒険」は読んでみたい。
2013/10/04
ネギっ子gen
村上春樹氏の「前書き」に「(河合さんは)決して自分の考えで相手を動かそうとしない。相手の思考の自発的な動きを邪魔するまいと、細心の注意を払う。むしろ相手の動きに合わせて、自分の位置を少しずつシフトさせていく」と。ここに先生のカウンセリングの技量を見る。その春樹氏、本タイトルに「簡潔にして要を得ている――と僕は思う。なんだか物語の始まりみたいではないですか」と書くが、その通りですね。161頁の河合先生の<「治る」ということは深く考えると、わけのわからなくなるほど定義するのが難しい>という記述に、賛同します。
2019/12/24
しいたけ
村上春樹の小説は多分ノルウェイだけ、翻訳も多分ギャツビーだけ・・。そんな私が彼の小説以外のものを読むうちにどんどん惹かれて、ほとんど恋してる。Kindleで読んだのでハイライトがいっぱいになった。患者に好きですと言われたら「あなたが好きなようにわたしも好きになりました」と隠さず言う、「人間が人間を好きになるなんてのは大したことではないことだから・・」に「あっ、そうですか?」と焦る村上氏。私も焦った。論点はそこではないので大丈夫。核実験への反対の話で「だれも痛みをひきうけていない」と。そんな真面目さがいい。
2017/02/10
アキ
この対談が行われた1995年は、日本からのデタッチメントのため米国で生活し、オウムのサリン事件と阪神淡路大震災を契機に日本へコミットメントするために帰国した年。それは「アンダーグラウンド」「神の子どもたちはみな踊る」に結実した。「ねじまき鳥クロニクル」は転換点となる作品であり、河合隼雄に会いに行った理由もより深く井戸を掘るためであった。ハルキが言葉や態度によって隼雄に癒されている。ムラカミの文章を「身体牲を取り込んだ文体」呼ぶ河合は、フィクションやものがたりを生業にすることへの救いとあやうさをも指摘する。
2021/03/02
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