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職業としての小説家 (新潮文庫)

職業としての小説家 (新潮文庫)

職業としての小説家 (新潮文庫)

作家
村上春樹
出版社
新潮社
発売日
2016-09-28
ISBN
9784101001692
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職業としての小説家 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

村上春樹が小説家であるとはどういうことかを、かなり詳細に語ったもの。もちろん、ここで語られていることは村上自身も述べているように、多くの小説家に敷衍できるものであるとは限らない。否、むしろ村上春樹は小説家であることにおいても独自のスタイルをとっているように思われる。彼が『風の歌を聴け』を書いて群像新人賞に応募した時、コピーも取っていなかったそうである。したがって、もし落選していたら私たちはあの作品を永久に読めなかったかも知れないのだ。それどころか、その場合には「そんなものか」と思って村上はそれ以上小説を⇒

2019/10/23

パトラッシュ

幼少から読書好きな少年が自分も書きたくなったのが小説家ならば、その自伝は読書体験やなるにあたっての覚悟、影響を受けた文学や執筆時の苦闘などが中心となる。しかし本書は小説家という職業に偶然就いた人の勤労記録であり、心身のコンディションを整えて規則正しく務める模範的サラリーマンに見える。酒や女や政治運動に関わるのが当然だった日本文壇で、肉体的節制こそ不可欠と公言する著者は異端視された。楽しみながら仕事をして実績を上げたが、従来の常識や慣例を遵守する業界人から批判を受け続けた有能な不器用人の困惑が伝わってくる。

2023/08/03

zero1

文壇は排他か寛容か。作家に資格はあるのか。小説を書くとはどういうこと?小説や作家について、春樹が語るエッセイ。大学卒業からデビュー作を書くまでの経緯。それは78年に神宮球場で起きた。二回落選した芥川賞について、どう考えているか。彼は時間のかかる書き直しが好きで、妻の貢献は大きい(後述)。一人称で見る作品の変遷。アメリカでの出版と翻訳の関係。学校教育の無意味さを、「やかん」を例に解説。対談本を出している河合隼雄(07年没 後述)についても。春樹を知るためにも興味深い本を再読。

2020/09/01

あすなろ

最初から僕は思いました。これは中学生の国語の教科書に採用されるといいなと。こんな過程と想いで村上氏が作品を産んできたことを改めて知りました。矜持が素晴らしいですね。御自身は何度も大したことないような記述をされてますが。一杯ここに書きたいことがあるのですが、今日も村上氏が早起きされて5時間は机に向かって定めた文章量を書き、あるいは何度目かの推敲、若しくは翻訳をされ、ジョギングする姿を脳裏に描きながら僕も日々の生活を自分なりに見つめていきたいと思ってしまいました。

2016/11/26

mukimi

audibleでラジオの様に読書。小説執筆についての話が生きることそのものの話に聞こえてくる。複合的で説明困難なものに唯一解を俊敏に与えられる頭の回転の速い人に対し、物事を流動的に受け止め心で味わい離れた場所から見て感性で取り留めのない思いを言葉に紡ぐ人が小説家に向いていると、この忙しない世の中で一見不器用なそんな生き方を肯定してくれる。私もよく頑張って全力を尽くして仕事したって証を墓場に持って行きたいと思う。また村上作品を読み「今日という1日の中にもう一つ新しい1日が生じた様な清々しさ」を感じていこう。

2022/12/20

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