本当の翻訳の話をしよう 増補版 (新潮文庫)
本当の翻訳の話をしよう 増補版 (新潮文庫) / 感想・レビュー
buchipanda3
「いい小説にはいい小説の強みがあるし、あんまりよくない小説にも強みはある。こういう本もなくちゃいけないという重みがある」。文庫で再読。村上氏と柴田氏の対談が7本と結構な分量が増補されていた。他の既刊本からの再掲だが、どれも私は未読で中身も興味のある米文学ネタなので面白く読めた。小説は耳で書く、黙読しながらヴォイスが立ち上がるまで書き直すと語る村上氏が印象的。イギリスは描写で勝負、アメリカは声で勝負なのだとか。うむむ、文章から声がググっと迫ってくる感覚って確かにある。そういう本をもっと読みたい、感じたい。
2021/07/25
鱒子
頂きもの 20世紀前半〜のアメリカ文学と日本語翻訳について、翻訳者柴田元幸さん&村上春樹さんが対談したものがメイン。柴田さんの「日本翻訳史」も載っています。お二人の翻訳対決(?)は面白かった。盛りだくさんで贅沢な一冊。日本語翻訳者さん達に感謝!
2021/10/26
chantal(シャンタール)
本当は「翻訳夜話」から読んだ方が良かったんだろうけど、とりあえず手元にあるこちらから。お二人の英米文学に対する愛情や造形の深さが迸ってる感じで、紹介されてる本、みんな読みたくなる。元々私は短編が好きなので、村上さんのおかげでカーヴァーにも出会えたし、良かった。お二人の翻訳を並べて読むと、やはり学者と作家だな、と思うような違いがあって楽しい。好きな作品を翻訳出来たら、それは楽しいだろうなあと思う。村上さんが盆栽のような趣味でやってるって、そんな境地に至れるの、羨まし過ぎる!
2022/10/21
佐島楓
村上春樹の小説に翻訳という行為がいかに大きな影響を与えているかがよくわかる一冊。外国文学(特に英米文学)が彼の文体をつくり、強化してきたことが納得できる。カーヴァーやフィッツジェラルド、チャンドラーなどは私も春樹訳で読んだし、そうでなかったら読んでいたかどうか怪しい。柴田先生との対談で今後訳してみたい作家などについて言及なさっているのが嬉しいところ。これからも良質な文学を読者に届けてくださることを期待しています。
2021/07/04
けぴ
村上春樹と柴田元幸の翻訳を巡るディープな対談。読んだことの無い本の話題でも不思議と興味深く読めた。同じ英文の題材で二人が和訳したものが並んで掲載されているところがあり一番の読みどころ。柴田訳は原文に限りなく忠実である一方、村上訳は原文の意味を損なわない範囲で読みやすい日本語。翻訳はそれほど儲かるものでは無いようであるが、好きな作家を翻訳することには愛があるよう。本書から読みたい作品がいくつか見つかったのも収穫。
2024/04/19
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