名人 (新潮文庫 か 1-14)
名人 (新潮文庫 か 1-14) / 感想・レビュー
はなん
新井素子解説、ということで。)囲碁の世界。知ってはいても打つ訳ではなく、正直、その対局場面はなかなか厳しい読書になった。が、囲碁という世界に命懸けで立ち向かう姿には某マンガも手助けになってなんとなく、分かる。あくまでもなんとなく、なのだけれど。そして素子さんの解説。その最後。20代、40代、70代、そしてその先でももしかしたら同じ作品を読める。受け止める感覚はそれぞれ変わる。そこにとてもこころが震える。時代を超えて。自分もまた時代を超えていく。ああ、読書っていいな。そう、思う。
2022/12/31
雲國斎
川端康成の小説を読むのは何十年ぶり?記憶にないほど。 本作は、囲碁界に君臨する不敗の名人、本因坊秀哉の引退碁の一局を描いた名作だそうだ。病を抱える老名人は、命を削って戦いに臨むが、若手七段の策略?といえなくもない一手に思わず「ずるい」とこぼし、老いてなお人間の性をのぞかせる。ちなみに七段のモデルは後の名棋士木谷実だ。互いの体調や盤外の駆け引きなどもあり数か月に及んだ対局。持ち時間各40時間。すごすぎるわ!
2023/01/11
カツ
囲碁番組で取り上げていたので読んでみたウン十年ぶりの川端康成。ノンフィクションの様な作品なので、これが川端なのかとちょっと驚く。「伊豆の踊子」しか読んだ事ないけど。半年もかけて引退碁をやった事や、その日の試合が終わると将棋や麻雀に興じる名人にも驚いた。淡々とした短い文章で鮮やかな情景を浮かび上がらせるところが文豪たる所以なのかと感じた作品でした。
2023/07/07
michel
S13年6月26から12月4日にかけて打ち継がれた本因坊秀哉名人の引退碁。「不敗の名人」が生死を賭けた人生最後の勝負碁に、川端は観戦記者として沿う。静かな息づかい、激しいものが張り詰めてくる。燃え上がる鬼魄と闘志。名人の精神の踏み切りはまさに幽鬼じみる。観戦記者からの視点でありながら、同じ芸術家としての敬慕の念で「不敗の名人」の敗れる姿を描く。この人こそ勝負の世界が生み出した'名人'という芸術作品だ。名人には孤高の勝負師の空気が張り詰めているが、寂しがり屋で人懐っこさも垣間見て取れるのは、川端も同類だから
2023/09/18
こけこ
囲碁を全く知らない私でも、棋士の心構えの凄さを感じた。囲碁を学んでから再読したら、感じ方が違うのかな???
2023/03/01
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