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陰翳礼讃・文章読本 (新潮文庫)

陰翳礼讃・文章読本 (新潮文庫)

陰翳礼讃・文章読本 (新潮文庫)

作家
谷崎潤一郎
出版社
新潮社
発売日
2016-07-28
ISBN
9784101005164
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陰翳礼讃・文章読本 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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mukimi

高校生の頃に課題で読んだことがあるがあの頃は全く理解できなかった。30歳を過ぎて、陰翳礼讃の世界観が理解できるようになっていた。薄暗い中にある輪郭の曖昧なものの美しさを尊ぶ日本人の美的感受性を知ることができるようになっていた。歳を重ねるのも悪くない。日本は諸外国に対抗せずとも、この美しい独自の文化をもっと誇っていいと思えた。そしてもう嬉しくて背中がぞわぞわするくらい最高に贅沢な詩的表現の連なり…想像力を掻き立てる芳醇な谷崎文学の世界で遊ばせてもらった。9月の雨夜にぴったりの読書。

2021/09/13

扉のこちら側

2016年901冊め。谷崎の二大名エッセイがこの文庫により1冊で読めるようになった。物体と物体の間の影に日本的な美を見出すことには頷ける。私が日本の美を考える時に出てくるのは、「陰影」に加えて「湿り気」と言うものがある。怪談話にも通じるものなのだが、ひたり、ひたりという足音だとか、ぴちょん、ぴちょんという水音だとか、肌の表面が汗で仄かに光る様子だとか、そういう艶やか…という一言では表せない雰囲気。「文章読本」は、全てには頷けないがやはり文豪が言うだけに説得力がある。トイレ談義も面白かった。

2016/10/27

さと

谷崎氏が感じる日本の美 について、独自の感性とこだわりが綴られているが日本の歴史や文化、生活に根拠を置くだけに、私への戒めとも。厠の話がとても良かった。幼いころ訪れた祖父母の家のトイレはまさに厠といった趣だった。子供ながらに『うちの中で一番風情があるところ』と感じ、当時は自分の感覚を疑ったが、訳も分からぬ子供でさえ感じられた風情があったのだから、相当な厠?だったのだろう。夏は蚊帳をつり月の明りの中で眠った。家の隅々や廊下は暗かった。今にして思えば、だからこそ染みついた日本人としての感覚があるのかもしれない

2017/01/03

優希

谷崎の2大エッセイが1冊にまとまったものになります。独自の視点で論じる日本の美、名文から日本語を論じる文章の美には、美意識が強く表れているような気がしました。美術と芸術と創作の真髄が余すところなく述べられていると思います。

2018/04/09

Kajitt22

『陰翳礼讃』も良いが『文章読本』が素晴らしい。数十年ぶりにアカデミックな気分を味わえた。学生時代に古文・漢文は外国語の様で苦手だったが、これが教材だったらもっと古典に親しみが湧いたかもしれない。日本語の多様性、奥ゆかしさ等例文を挙げ丁寧に書き込んでいる。さすが大谷崎。たびたび引用される志賀直哉の『城崎にて』も読まねば。解説では筒井康隆先生が『文章読本』を語るとは、思いもよらず楽しい。

2021/10/14

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