しんせかい (新潮文庫)
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しんせかい (新潮文庫) / 感想・レビュー
absinthe
『北の国から』を地で行くような作品。北の地の2年間のサバイバル合宿キャンプのような環境で、俳優と脚本の技術の講義を受ける。本当にそれほど俳優になりたいのかどうか、思い悩みながらも淡々と心情をつづる。奇をてらったアドリブや根拠のないアピールは疲れとともに消えていく。最後に残ったところに本当の演技や核心を突いた表現が生まれるのだろう。最初の一年間が妙に詳しいのに次の一年は1行にまとめられた。
2021/01/13
k5
「ようやく聞こえたのかじいさんは小さくうなずいたように見えたが風に揺れていただけかもしれない。」なんだかめっちゃおもろいです。二回くらい声出して笑ってしまいました。倉本聰の富良野塾にいたときの体験を元にしているそうですが、意味のない作業を延々やらされるという軽いディストピア感を、ひらかなの「しんせかい」というタイトルが表して、文体とユーモアの絶妙な感覚が素晴らしい。記憶についての、朝吹真理子さんの解説も本質をついていると思います。
2020/08/15
佐島楓
なんだか茫漠としている世界を描いている。でもいつも自分が明晰な意識を生きているかと問われれば、それは絶対に違う。放心していることも、朦朧としているときもある。なるほど正直な小説なのだな、と納得するとまた足元をすくわれる。あくまでも小説は小説、フィクションなのだということ。つかみどころがないと言えばない。難しい作品だ。
2019/10/30
かみぶくろ
3.1/5.0 記憶を元に過去の一時期をできるだけ頑張って物語ってみました、という形式のお話。主人公の感情は描かれずに独特の文体で記憶にある出来事を書き連ねていくのだが、それによりどういう効果が生まれてなにを生み出そうとしているのかいまいち分からない。意図がないことが意図なら肯定しずらい。文章は時々とても面白いが、全体的に特殊すぎて、個人的には好みではなかった。
2024/02/28
ω
芥川賞受賞作。著者あとがき「この小説は無駄である そのことをわたしは、わたしだけは、誇りに思う」 ふーん。私はそんな小説は好きではない。
2020/12/24
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