紫苑物語 (新潮文庫)
紫苑物語 (新潮文庫) / 感想・レビュー
relaxopenenjoy
先日の焼け跡のイエスに続き石川淳。めちゃ良かった。紫苑物語、鷹、善財の3編。自分の読んだ中では、紫苑は泉鏡花(ちょっと谷崎)、鷹は安部公房っぽいとも思った。善財は戦後の新橋の闇食堂、大井町、高輪など東京の地名が出てきて登場人物もどこか生命力に富み、一番具体的。3編とも大きく異なる作風。一番好きだったのは文章が美しく幻想的な紫苑物語でした。邸も何もかも燃えた跡に紫苑の可憐な花が咲き誇る、めっちゃ絵になる。。。
2020/09/04
tess
「紫苑物語」須賀敦子はどんな風に翻訳したのだろうと思いながらの再読。「善財」はかなり好きな作品。石川淳おそるべし。
2022/05/02
quabex
「紫苑物語」を原作としたオペラを観る前に予習として、初めて読んだ石川淳だった。「紫苑物語」ほか2編、いずれも異なる文体で書かれていて、当たり前のことかもしれないが、作家というのは、題材に合わせて、いろいろな文体をこしらえて駆使できるものなんだなあと感心した。単に物語の筋を運ぶ入れ物または乗り物というだけでなく、入れ物または乗り物自体の味わいも楽しむような読書だった。石川淳の長編を読んでみたい。
2019/03/19
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