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小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)

小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)

小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)

作家
志賀直哉
出版社
新潮社
発売日
2005-04-01
ISBN
9784101030050
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小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ミカママ

帰国中に出先で何気なくつけたTVでやっていたNHKの「文豪温泉」〜いやぁ素敵な番組だった〜で取り上げられていたこちらを再読したく、駆け込んだ書店で手に入れたもの。短編集なので、寝る前に少しずつ読んだ。どれにも作者の死生観というか、生きていく上でのやるせなさとかが、ひしと伝わってくるような。中でも表題作二作は光っている。『小僧の』は、ひょっとしたら私小説?作家ではあるが特権階級である身の上を描いたものか。(『小僧の』の〆)自身によるお茶目な後書きも楽しい。「文豪温泉」、日本にいたら毎回観ることができるのに。

2023/08/09

mura_ユル活動

【読みたい本読了】何故か本棚にあった。志賀さんは初読(学校で読んだことがあったかもしれない)。ある著名人がとても綺麗な文章を書く人と言っていた。短編集。表題作2編はよかった。「佐々木の場合」が1番良かった。簡潔で昔の表現もあり、慣れないと、きっと、読み落としも多いだろうと思う。

2016/07/02

Miyoshi Hirotaka

少年の淡い恋が不発だったことがラストで分かる「と、日記には書いておこう」という龍角散のCMの名台詞。この起源は大正時代にあった。小僧の身分では一貫ですら手が届かなかった鮪の鮨。その様子を偶然に目にした奇特な紳士が腹いっぱい食べさせてくれた。以来、悲しいことや苦しいことがあってもいつかは思わぬ恵みを持ってきてくれることを信じ続けた。ところが、その客がでたらめに書いた住所には稲荷の祠があるだけ、というオチは書こうと思ったが少年が可哀想で書けなかったと筆をおく。登場人物に対する深い愛情と思い入れが魅力の短編集。

2015/04/26

新地学@児童書病発動中

大ファンの太宰治の天敵なので読むのを避けてきたが、そんな心の狭いことではいかん!と思い、手に取ってみた。文章がうまいと思う。無造作に書かれているようで、隅々まで気配りがされて、人肌のぬくもりがある。蜂や鼠といった動物の交感に東洋的な感性を感じる「城の崎にて」と、自分の不倫のことを率直に表現した「瑣事」以降の作品が好みだった。

2014/09/25

ケイ

『城の崎にて』のみ再読。城崎温泉の様子がよくわかり情景が浮かぶ。いまも残る、温泉街でありながらさらっとした感じは、自省しやすい環境だったのだろう。電車にひかれて大怪我を負い、九死に一生を得た作者は、ふと目にしたことで生と死について考える。短いが美しく、切ない文章だ。彼に死を強く意識させたのは、蜂や鼠やイモリだった。その死の一つに自分が思わず関わってしまったことへのたじろぎは、彼自身があった事故による精神的な傷が表面にでてきたということではないか、と思う。

2014/10/04

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