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灰色の月・万暦赤絵 (新潮文庫 し 1-6)

灰色の月・万暦赤絵 (新潮文庫 し 1-6)

灰色の月・万暦赤絵 (新潮文庫 し 1-6)

作家
志賀直哉
出版社
新潮社
発売日
1968-09-01
ISBN
9784101030067
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灰色の月・万暦赤絵 (新潮文庫 し 1-6) / 感想・レビュー

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キジネコ

灰色の月に中国行きのスローボートを思いました。万歴赤絵は唯一滑稽噺として苦笑を得ました。同僚をいたぶる、いたずらと合わせて3篇を敢えて印象的と致します。リズムには文作の手として見習うべきものがある様に思います。23篇のうち最後の1篇を残し除厄の読了と致します。感想は概ね不快。私は、もう志賀直哉を読まない。殺生に触った過去、置き去りの悔いを除く作家の指先が私の胸に棘を活け替えました。些細な命、虐げられる方の酷に染まる私の偏狭故の誤解でしょうが、不快なものは不快なのです。過ぎたる光は陰影の真を奪う気がします。

2016/10/21

メタボン

☆☆☆ 志賀直哉の後期作品集。文章は滋味があって読みやすいが内容は平凡なものが多かった。小説というよりは随筆と思って気軽に読むのが良い。そんな中でも、自転車に執心だった青年時代意図せずにペテンのように自転車を売ってしまったことを後悔して自転車屋にお詫びに行く「自転車」、惚気ばかり言う友人に嫌気がさし偽のラブレターを出し続ける「いたずら」、東京ではぐれた飼い犬を偶然に見つける「盲亀浮木」が良かった。

2022/08/11

カブトムシ

「豊年虫」は信州の戸倉温泉の笹屋ホテルに滞在して、「邦子」という小説を完成させた際の昭和2年の上田や戸倉上山田の様子を後に描いたもの。なかなか筆が進み、その後も何度か笹屋ホテルに泊まった。「万暦赤絵」は、満州を旅行した時に、万暦の花瓶を探してみたが、見つからなかった話。これも、満州事変の前の旅行だったが、発表は昭和8年だった。満州事変は、1931年だからその前後のこと。この作品集は、昭和の作品が収められ、志賀直哉の後期のものである。大正の後期(志賀直哉にとっての中期)の作品集が、一番優れていると私は思う。

カブトムシ

豊年虫…「娘は長野で見た『真珠夫人』の活動写真の話をした。そして、『菊池寛が一とういいわ』といった。若者達も菊池寛崇拝だった。私は『菊池寛は私の知人だよ』そういってみたい誘惑を一寸感じた。そして『ナオヤというのは私の事だ』といったら、さぞみんなびっくりするだろうと気楽な事を考えた」私(カブトムシ)は、菊池寛の「真珠夫人」を読んでいない。面白い小説だという感想は複数の人から聞いている。菊池寛には志賀直哉を好意的に論じた作家論がある。いい関係だったのだが、ナオヤという登場人物がどう描かれているのか、知らない。

カブトムシ

この本は、志賀直哉の後期の作品集です。昭和時代の作品集といってもいいでしょう。以前に信州戸倉や上田を舞台にした「豊年虫」を紹介しました。「和解」を「小学生の作文」というのは、インターネットで割と前から拡散したデマでした。「和解」は大正時代の作品で、芥川龍之介がこれを読んで、やる気をなくしたとどこかで読みました。今どこに書いてあったか、探しているところです。この本の「朝顔」や「山鳩」などだったら、百歩も千歩も譲って「小学校の作文といえないこともない」と思います。阿川弘之や井上靖は、後期の作品もほめています。

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