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多甚古村 (新潮文庫 い 4-1)

多甚古村 (新潮文庫 い 4-1)

多甚古村 (新潮文庫 い 4-1)

作家
井伏鱒二
出版社
新潮社
発売日
1950-01-01
ISBN
9784101034010
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多甚古村 (新潮文庫 い 4-1) / 感想・レビュー

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そうたそ

★★★☆☆ 多甚古村に新しく赴任してきた甲田巡査の日録という形で綴られる作品。日録なので、描かれる出来事のひとつひとつはとても短いが、全体として村の平和で明るいイメージが伝わってくる。巡査の人柄も素敵だし、それを描く著者もユーモアに溢れどこか飄々としている。併録の「――補遺」の方が、ひとつひとつの話が長いので小説っぽいかもしれない。平和でまったりとしていながら時に戦争の二文字が影を落とすあたり、当時の時代を思わせる作品となっている。

2019/02/24

A.T

井伏鱒二 昭和25年出版。この20年ほど後に「黒い雨」を出すわけだが、当時はどのような思いでこれを書き起こしていたのだろうと気になった。高松に近い田舎の駐在所勤務の警官が解決する村の珍事事件簿。戦時とはいえ直接には何も戦争の攻撃にさらされるでもなく、表面上は平穏そのものだが、洋装の派手な女や、親日家のアメリカ人家族を追い出す騒ぎも起こる。田舎とはいえ風俗店なのだろうか、ダルマ屋というちょっと怖い呼び名の女主人なども登場する。そのくせ、駐在さんののんびりした生活感が好ましく描かれる不思議な世界だった。

2017/10/29

蛇の婿

いわば淡々と、田舎のお巡りさんの駐在日記が綴られているだけなのですが、これがまたなかなかに面白い…ひとつひとつの事件が小規模ながら短いサイクルで結末を迎える短篇集みたいな体裁を取るせいでもありましょうか、はたまたそれらの事件が主人公の目というフィルターを通し、人情味あふれる視点で語られるせいでもありましょうか…本編185ページという短さもあって、あっという間に読了してしまいました。味のある、いい作品と思います。けして夢中になって読み進める作品ではないでしょうが、何度でも読み返したいと思わせる小説です。

2012/06/04

さっと

いち巡査の日記の形をとりながら田舎の世相が淡々と描かれる。戦時下ではあるけれど、なんとものんびりとした日常風景の中で、ときに地域住民にあたたかく寄り添い、ときに官の立場で厳しく律し、若いけれどしっかりした甲田巡査には好感が持てる。場所柄、冷え込みが厳しいらしい駐在所にいる自分を「寒帯さん」とし、比較的あたたかいところ(施設・設備のつくりのせい?)らしい役所に勤める小使「温帯さん」との呼び合いがこの小説のトーンを象徴している。

2018/07/14

ムー

面白かった。色んな相談を持ち込まれる村の巡査は多忙です。

2021/01/05

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