1R1分34秒 (新潮文庫)
1R1分34秒 (新潮文庫) / 感想・レビュー
佐島楓
健全な男子の健全な物語のように読めて、あまり面白くなかった。ボクシングをやっている主人公の「うっくつ」は、年齢を重ねるうちに諦めてやり過ごせるようになっていく種類のものだ。そのあたりが青春小説ということか。ボクシングの身体的表現を通して普遍を描こうとしているのはうっすらとわかる。でも(ボクシングだけに)パンチが足りない。
2022/01/11
三代目けんこと
久しぶりに芥川賞受賞作を読了。
2022/04/30
Tadashi Tanohata
ボクシングと芥川賞はこう繋がるのか。敗戦のトラウマと減量苦で壊れゆく精神世界を、弱いボクサーが語る。弱い奴は壊れろ逃げろそして追い詰められろと。普通ならシャドーしながら読むボクシングものも、クリンチの連続で読了、こんなのもありかと1R1分34秒。
2023/07/10
朗読者
プロボクサーの飢餓感を描いた作品。主人公はデビュー戦こそKO勝ちしたが、その後は3敗1分のプロ継続を危ぶまれる凡庸なボクサー。新トレーナーとして歳の近い選手兼トレーナーを充てがわれ、実質的にはジムから見切りをつけられている。次負ければ終わりという雰囲気が漂う。そんな中、新トレーナーに鋭い分析力があることを感じる。厳しいトレーニングと減量に耐え、新トレーナーに罵声を浴びせたり、涙を見せたりして揺らぎながら、次戦にすべてを掛ける決意を固めていく。心理描写が素晴らしく、プロボクサーを疑似体験した感覚に陥った。
2022/09/06
武井 康則
考えて体を動かすと、まだ先があることを知る。体の使用は個々それぞれで基本は間違ってなくてもちょっとした変わりはあって、身体そのものの知恵の深さにいつも驚かされる。主人公は、夢も希望もない。彼の考え、行動に意味はない。彼の体の理解者であるコーチが現れて彼の言うままに動くとき、主人公の体は目覚め、身体の思考、思想が表現される。体の動きの不思議を知っている人なら共感できるはず。
2022/05/08
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