正しく生きるとはどういうことか (新潮文庫 い 75-3)
正しく生きるとはどういうことか (新潮文庫 い 75-3) / 感想・レビュー
ヴェルナーの日記
ただにエッセーとして読むならば面白い与太話で済む本だが、真面目に取り上げるとするなら、著者が描き出す社会設計は穴がありすぎて”ザルで水を汲みとっている”ようなものである。教育・医療・経済・社会体制などを論いているが、一つ一つを精密に思考すべき案件(ミクロ的案件・個別解)を全体を思考する案件(マクロ的案件・全体解)に当てはめたり、その逆をも思考しているので、相対的に著者の描く社会はかなり歪なものなってしまっている。
2017/01/18
壱萬参仟縁
随所にドキリとさせられる叙述がちりばめられている。「いざとなったら、学校や会社など(さらには国家だって)潰れてしまっても別にどうということはないのだ。それよりあなたが善く生きることの方がずっと大事である」(p.45)。平易なことばで核心の生きざまが語られ、痛快な箇所もある。
2012/04/25
akane
自分なりの規範を設け、その中でうまく欲望を解放しながら楽しむこと…それが正しい(より生きやすい)生き方だ、という主張の本。過激に聞こえる著者の主張に抵抗をおぼえる場面が多々あったけど、世論に慣らされすぎた私の目を覚まさせてくれたという意味では良い本だった。
2011/04/09
ギダちゃん
著者は自分にとって善い生き方とは欲望を開放することと自分なりの規範を決めることですが、正しく生きるとは自分と他人の欲望を調停することだと言っています。既成の道徳倫理などを無視した論調ですので、そこに面白さがありました。
2010/04/22
Arowana
題名から真面目な人が真摯な生き方を説いた本だと思って読んでみたが、面白い極言でいっぱいの内容だった。主張・立場としては「恣意性の権利」を最大限尊重すべきだというリバタリアニズムの色が濃い。本書を読んでいると、個性を画一性のもとに押し潰し何でもレッテルを張り人を鋳型に押し込もうとする悪徳(恐れずに言えばファシズム)に対して著者が抱いている不快感が伝わってきたし、また結局は、道徳感情も差別感情を含んでおり、他人をヒエラルキーで支配して自分の秤で矯正して裁こうとする独善に陥りやすいのだということに気づかされる。
2012/05/26
感想・レビューをもっと見る