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日本語の年輪 (新潮文庫)

日本語の年輪 (新潮文庫)

日本語の年輪 (新潮文庫)

作家
大野晋
出版社
新潮社
発売日
1966-05-12
ISBN
9784101036014
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日本語の年輪 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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Mijas

昭和41年発行。日本語の歴史を紐解く本。具体的には、58の日本語が7つの項目に分けられ、各時代の運用例が示される。例えば「美」の項に取り上げられている「さびしい」。寂寥という漢語が与えられるが、寂寥に耐えてこそ心の中に美を見出そうとする日本人の感性が「さび」という言葉を生む。日本人が何に美を感じるのか、何を祈り、何に願いを託してきたのか、日本語の変遷を通して解明される。日本語の中で漢字の役割が大きい理由や仮名文字が生み出された背景などについてもわかりやすく書かれている。10代の頃に読んでおきたかった。

2016/02/21

ホークス

日本語の意味や用法の変遷を主に古典文学から推理・論証する。すっかり意味の変わった言葉も多い。平安時代の「なまめかしい」は「さりげない、愛らしい」美しさだった。なま=未熟の意。後年、なま魚などの連想でやや品の悪い「あだっぽい」意に移る。美しさを示す言葉は、パッと明るい「おもしろし」、汚れのない「きよし」、冴えて鮮やかな「さやけし」など多彩。「いまいましい」は「忌む」に近く、かなり不吉と聞くと使うのが怖くなる。言葉の古い意味は、現在の用法にも意外に多く残っていて新鮮な驚き。文章が明晰で分かりやすい。

2020/03/27

壱萬参仟縁

日本社会の構造が、絶えず上下関係に深い注意を払う社会(11頁)。だが、格差社会が打ち砕いているのも事実。美は無言の天使(19頁)。なんも言わないので解釈がいかようにもできる。それが魅力か。元来わびには期待が外れたり、悲しいめに遭ったりして、力を落し、気力をなくすこと(39頁)。さびは、静かに、純粋に、なりゆくままを味わい、美を見出そうとする、強い心(38頁)。英語に訳しづらい概念である。わびは貧しさに徹し、耐え、世俗の騒ぎから離れた美。さびは孤独に徹し、寂寥を美まで高める(41頁)。 

2014/10/01

bapaksejahtera

60年代末新聞に連載されたエッセイを纏めた物。前半に分類された基本語彙を並べ、語源を探る記述がある。奇異な説は余りない。よく使われる言葉の来歴が理解し易い構成である。一神教と多神教、民主と専制の如く、善意ではあるが戦後的な感覚を多少は受ける。後半に極めて短いながら日本語の歴史が簡潔に述べられている。壮年期の著述であり、日本語ドラヴィダ(タミル)語説等には触れず、系統論はあっさりと述べている。かなとその淵源、仮名遣いの成立と変遷、漢文訓読が日本語に与えた影響の他、国語国字問題にも触れ、繰返し読みたい内容だ。

2021/05/27

HH2020

◎ 長い間読みたい本に登録したままほったらかしにしていてずっと気になっていたが、ようやく読み終えることができてうれしい。日本語の成り立ちを深いところから明らかにしてくれるのでとてもわかりやすく勉強になった。「かすか」と「ほのか」の違いわかりますか?その違いは広辞苑を引いてもわからない。ことばの源をヤマト言葉に遡ってはじめて理解できる。日本語だけでなく日本文化の将来についても考えるきっかけになる。

2018/04/17

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