日本語と私 (新潮文庫 お 11-4)
日本語と私 (新潮文庫 お 11-4) / 感想・レビュー
浅香山三郎
大野晋氏と言へば、私の持つてゐる辞書では、『岩波古語辞典』、それに『角川必携国語辞典』の編者。タミル語と日本語の類似説の論者、日本語論の一般向けの諸書の著者としても著名。本書は、大野氏の自伝的な随筆で、大正生まれで下町育ち、戦前期に学問を志した青年の知的環境のあり方を知るといふ意味でも面白い本である。例へば、橋本進吉・時枝誠記といつた帝大の研究者らの学風とゼミの雰囲気、戦下の逼迫した中で研究を続ける覚悟など。戦後の話題では、『岩波古語辞典』編纂の舞台裏の話(他社の辞書に語釈を流用された疑惑)が生々しい。
2024/02/19
壱萬参仟縁
1999年初出。「図書館で遊ぶ」の節(39頁~)。「人間は暗記の機械にあらず」と答案に書いたら零点(43頁)。しかし、テストでは零点でもその答えなら日本の教育批判という小論文で書けば零点ではない。その論理を辿れれば、逆にいい小論文として評価されていくと思えるのである。日本の教育の恥部は、暗記重視の結果、学力低下という羽目に陥っている。それを改善するには、本サイトを活用した感想文の提出をさせた方が、はるかに読解力がつくのではないか。記述式の入試だった著者の頃の方が学力は高かったかもしれない(58頁)。実態?
2013/03/03
ヨーイチ
学者なのに文章が上手い!みずみずしい下町の描写がとっても意外で素敵。タミル語説って今はどうなっているの?
2012/12/19
mio k
言葉が意思疎通の単なる道具ではなく、例えば歴史や文化のような重みを持っているということはもちろん大野先生の文章から感じるのだけど、そういう民族的な重要さは別にしても日本語を読む楽しさ、という忘てしまいがちなことを蘇らせてくれる。
2015/01/25
いちはじめ
自伝的な内容だが、後半になると自分の学んだこと、研究成果を分かりやすく説いているので、国語学の入門書的な面白さも。
2003/07/03
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