そのマンション、終の住処でいいですか? (新潮文庫)
そのマンション、終の住処でいいですか? (新潮文庫) / 感想・レビュー
さてさて
『住まい』というものに対する私たちの価値観は人によってそれぞれ異なります。人生において何を重視するかはその人の人生観とも切り離せないものです。この作品では、一つ屋根の下に暮らすマンション住人たちの今までの人生が、そして人と人との繋がりが丁寧に描かれていました。”欠陥マンション”という問題に光を当てつつ、様々な人々の心の闇、様々な人々の繋がりの複雑さ、そんな側面に一編ずつ丁寧に光を当てていくこの作品。原田さんらしい目の付け所の面白さと、様々な境遇にある住人たちの人生を描いていく上手さを感じさせる作品でした。
2022/09/21
きみたけ
図書館で半年以上予約待ちした人気の一冊。有名建築家による一等地の老朽化したデザイナーズマンションをめぐるいざこざを描いた物語。「おっぱいマンション改修争議」から題を改めてます。黒川紀章氏設計の銀座の「中銀カプセルタワービル」がモデルとのこと。何となく見たことあったような気が。。
2023/02/20
mariya926
垣谷美雨さんと似たようなタイトルだったので同じような作風かと思ったら、ラストが微妙な終わり方。垣谷美雨は何となくハッピーエンドに纏められるので、そこが違うのかと思いつつの読了でした。おっぱいマンションま老朽化して、再建築するか?文化材として残すか?からの、老後のやり甲斐を探している人や、見栄で生きているおばあさん。また偉大な芸術家の娘などなどの人生が纏められています。その建物と向き合う時に様々な人生感が滲み出ているのが興味深かったです。改訂前のタイトルだったら読まなかったかも?笑
2022/11/21
のぶ
人にとって住宅の購入は一番の買い物だと言われていますよね。「おっぱいマンション」と呼ばれている中古のマンションは欠陥住宅だった。それを買った人たちをめぐる連作短編集。老朽化により建て替えを余儀なくされている。建て替えかそれともこのままか、関係者の思いは如何に。本書を読んでみると、集合住宅の建て替えはすごく難しいらしく、各住人の同意が必要になってくる。登場人物がユニークで、一癖ある人たちがそんな出来事に振り回される姿がユーモラスに描かれている。まさにタイトルそのままの実態が面白かったです。
2022/02/14
レモングラス
北関東の郊外に住んでいた市瀬清。娘が就職し都心で一人暮らしをと言い出したのをきっかけにデザイナーズマンションを購入。住み始めてすぐに壁にぽつぽつと水膨れのようなものを見つける。欠陥住宅だった。契約書にも明記されているでしょと仲介してくれた不動産屋に言われた。契約後の修理代は理由の如何に拘らず、市瀬が持つことになっていた。いわゆる、売り主の瑕疵担保責任が完全に免責になっていた。契約する時にも気になった条項だったが「古い中古物件の契約は皆、こうなっています。その分、お値段も安いんです」と。翻弄される人々‥‥。
2023/08/15
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