覇王の譜 (新潮文庫)
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覇王の譜 (新潮文庫) / 感想・レビュー
じいじ
将棋とは、一手先に相手の王将を打ち取った方が「勝ち」の単純明快なゲームである。でも、プロの棋士たちは、これに命を懸けて戦っているのである。さて今作は、天才少年とうたわれたが、伸び悩んみ四段で足踏みするプロ棋士の直江を描いた物語。一時、将棋のプロを目指した著者だけに、緊迫の臨場感や緊張する対戦者の鼓動がヒシヒシと伝わってきた。そんな中、直江が師匠の頼みで、生意気なガキと一戦交える場面が面白かった。勝って当然、負ければ大恥…の割の合わない勝負である。読み応え充分の一冊。読み終えて、久々に将棋を指したくなった。
2022/10/04
優希
青年将棋師の格闘と成長の物語です。将棋をよく知らないので退屈に感じてしまいました。
2023/08/23
よっち
プロになって7年。将来を嘱望されながら未だC級2組に留まっている直江が、王座としてトップ棋士の一員となった奨励会同期の剛力英明に挑む将棋小説。旧友との間に開いた目も眩むような格差。諦めかけていた彼の転機となった京都の天才少年・高遠拓未との邂逅、棋界の第一人者・北神との対局、そして現在の師である師村の猛特訓。これまで最底辺だった境遇から這い上がろうとする直江が自分の実力を信じ続けることは容易ではなくて、高い壁に何度も跳ね返されながら、それでも諦めず挑み続ける熱い展開とその結末にはぐっと来るものがありました。
2022/10/12
KEI
棋士を目指し一時期は奨励会にも入っていたという著者だけに将棋の世界の緊張感があった。主人公・直江が宿命のライバルや天才少年、師匠との出会いから足踏みしていた状態から覚醒していく一棋士の成長記だった。残念ながら藤井六冠の勝敗やおやつぐらいしか将棋の世界は知らない。将棋用語も分からないが読んでいて、対局の迫力が伝わって来た。これでもっと将棋の知識があればより面白く読めただろう。
2023/05/08
道楽モン
将棋界を舞台とした小説も多く書かれているが、本書はその中でも極上品。奨励会やタイトル戦の仕組みを、ごく自然に理解させながら、ドラマ部分も多彩でエキセントリックな登場人物により楽しめる。棋譜なしでも対局の熱さを十分に表現しており作品の完成度も高い。後半は作品の熱量に引き込まれ、かなり入り込まされてしまった。棋士の世代間闘争や将棋連盟の政治部分に踏み込んでいるのが新機軸。元奨励会の作者ならではの細かい描写が、一般読者をも納得させる強力な要素となっている。次作が楽しみな作家がまた増えてしまった。
2023/04/10
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