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或る女 (下) (新潮文庫)

或る女 (下) (新潮文庫)

或る女 (下) (新潮文庫)

作家
有島武郎
出版社
新潮社
発売日
1948-05-20
ISBN
9784101042022
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或る女 (下) (新潮文庫) / 感想・レビュー

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Naoto Ono

下巻では、船旅の中で倉地の愛を勝ち取った葉子が次第に失墜していく様を描く。身内や友人等周囲の好意や社会的地位等すべてを犠牲にし、「魂を締木にかけてその油でも絞りあげるような悶え」の中で、一人の男を愛し抜く葉子が、肉体的な美しさと手練に頼って生きてきた分、本当に相手を信頼するすべを知らなかったせいで、あらゆる相手を疑心暗鬼の的にして精神と肉体を壊し病床について死に瀕する。下巻は葉子の心理が余すことなく描かれており、そのおかげか私は葉子という生き方が嫌いでなかった分、彼女を救う結末を考えて欲しかったと思った。

2019/04/08

umeko

葉子の、社会や男に対して反発するかのような激情。そんな彼女の、向かってはいけない方向へ向いた情熱にのめり込んだ。面白かった。

2013/05/21

由萌

結局社会や世の中に敗れて虚しく死んでいってしまう女の人が描かれている。しかし、その破天荒な生き様は、著者の文章力で様々な問題や時代背景を示していて、女の人に共感や同情をせざるを得ないなと感じた。風景描写が心情描写と連動していて言葉遣いにも感動した。解説のレベルも高くて、著者が白樺派であるが故に軽くしか前に出てこなかった問題を指摘していて著者の発想力はすごいなと感じた。これ以上の構成力があったら随分大変な作品になっていたという言葉に共感。 いろんな人に手に取ってもらいたい作品の一つだと思った。

2017/09/30

わい

上巻までは、ここまで女の本当を暴くような話を男が書けるなんて凄すぎるなと思っていたけど、下巻にきていよいよ葉子の世界が崩壊していくと、これは紛れもなく女の話だけど、絶対に女には書けない、男にしか書けない女の本当の話だと思って、結局のところ凄すぎる。葉子の心の機微をどこまでも追いかけ、どこまでも客観的にその顛末を描くことで、葉子というファンタジーはことごとく消え去った。ただ現実的な或る女の、不幸な最期を看取らせるという、読者にも重過ぎる荷をおわせた下巻だった。葉子の人生走馬灯!ちょー面白かった!

2015/07/31

Jumblesoul

下巻は略奪愛に成功した明治の肉食系我儘娘が、猜疑心の固まりになり病死していく姿を描く。最愛の妹達や愛人の前で頭蓋骨が割れんばかりのヒステリーを起こす様は哀れである。この話、女性目線で読んだらどう映るのか興味がある。

2016/02/05

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