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小さき者へ・生れ出づる悩み (新潮文庫)

小さき者へ・生れ出づる悩み (新潮文庫)

小さき者へ・生れ出づる悩み (新潮文庫)

作家
有島武郎
出版社
新潮社
発売日
2003-03-01
ISBN
9784101042046
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小さき者へ・生れ出づる悩み (新潮文庫) / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

一度読もうとして手にとりましたが、なぜかそのトキはタイミングが合わなかったのか、なかなか文章がするっとアタマに入らず、リタイアした作品です。今回は前回が嘘のようにスルスルと文章が違和感なく、馴染んで読むコトができ、ボリュームが少ないながらも作者の描く、圧倒的な心理&情景描写に惹き付けられました。『小さき者へ』の子に向けた父親の愛情と亡き妻への思いはなかなか痛烈でした。『生まれ出づる悩み』における北海道の厳しい自然と漁夫の生活をこのうえなくリアルに描く筆力に言葉が出ませんでした。『或る女』チャレンジかな。

2020/10/22

風眠

不器用ゆえに信念を曲げられず、苦しい生き方を選んだ作家・有島武郎。妻を亡くし、幼い子ども達を抱え、悩みながらも愛情を注いでいた父・有島武郎。思慮深く品行方正な文章の中に見え隠れする、葛藤や自責の念。小説としてきちんと昇華されているかどうかは別として、人間臭い正直さに心打たれた。「前途は遠い。そして暗い。然し恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。行け。勇んで。小さき者よ。」と自分自身を鼓舞するかのようなエールで文章は締めくくられている。けれど同時に、我が子への力強い愛情が確かに満ちている名文でもある。

2015/01/19

cockroach's garten

『小さき者へ』は父性愛と子供たちに対する悔恨の思いを赤裸々に綴っている。短い小説だが、強く生きてほしいという有島の願望が痛切に伝わる。『生まれ出づる悩み』は有島の社会主義思想が色濃く出たと同時に、荒々しい自然に立ち向かう人間の姿を美しくも残酷に書いている。詭弁かもしれないが、有島はアナキズムの影響、とくにクロポトキンの影響が強い。もし共産主義の思想を反映させるなら不遇に対して反抗心を燃やす。だが主人公はそう見えない。それはクロポトキンの主著『相互扶助論』が関係しているのか。共に助け合う姿を漁業に見たのか。

2017/06/05

舟江

「生れ出づる悩みの」は、2人称で書かれているためか、非常に傲慢な物言いだと思った。 以前「あなた作る人、私食べる人」というCMが、女性蔑視だと物議をかもしたことがあったが、これもまた時代の流れか。 作者は自殺までしたのであるから、ある意味で大正ロマンの優等生と言えるのかもしれない。

2015/09/09

momogaga

母を失った子ども達を見守る父の言葉は、慈愛に満ちている。そして最後の「前途は遠い。そして暗い。然し恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。行け。勇んで。小さき者よ。」これは、読書へのエールでもある。

2023/07/04

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