名探偵のはらわた (新潮文庫)
名探偵のはらわた (新潮文庫) / 感想・レビュー
麦ちゃんの下僕
タイトルは「探偵版『死霊のはらわた』」&「名探偵(?)の原田亘」&「名探偵の腸」のトリプルミーニング!? 昭和犯罪史に名を残す都井睦雄(→向井鴇雄)や阿部定(→八重定)が現代に甦る(!!)という特殊設定ミステリで、白井作品にしては“グロ”は控えめです(笑) 先に『名探偵のいけにえ』を読んでいますので、両者の“繋がり”が何だか切ないですね…。どちらの作品も、実際に起きた事件をモチーフに独自の“多重推理”が展開される訳ですが…なるほど!この作品が洗練され昇華したからこその傑作『いけにえ』なんですね…納得です!
2023/03/13
ナルピーチ
まずはそのタイトル『名探偵のはらわた』からして、物凄くグロ系なのを想像していたのだが、なるほどね。だから“はらわた”なのか!これは一本取られました。内容は連作短編形式の物語。昭和に起きた殺人事件を題材に、名だたる殺人鬼どもの魂が現代へと甦ってしまい、過去と同様の犯罪を繰り返していく…。グロ控え目のガッツリミステリーでとても読みやすく、尚且つ面白い!今作ではまだ決着のついていない事件もあるのでこれは次作があるのかな?面白いと噂の『名探偵のいけにえ』は解説で姉妹編と書いてあるからこちらも文庫化が楽しみです!
2023/08/30
HANA
「玉ノ池バラバラ事件」や「農薬コーラ事件」そして果ては「津ヶ山事件」等、どこかで聞いたような事件の名前。昭和の事件史に興味がある人には馴染み深いどころじゃないんだよなあ。本書はそれらの事件をキーワードにした連作短編である。過去のはずだったそれらの事件が再び起こり、対するは昭和の名探偵。という粗筋は好みの人には堪らないと思う。それに至るまでの設定が、一読した時は瞠目したけどその条件を上手くトリックに落とし込むのは上手いなあ。最後の大事件ではワトソンの活躍も相まって、なるほどこれは「名探偵のはらわた」だなあ。
2023/05/29
mihya
「はらわた」って腑じゃないんか…。白井作品なので当然エログロ鬼畜だと思っていたら拍子抜け。とは言え、若干の特殊設定もあり、多重推理もありで面白かった。 実際に起きた昭和の事件をモチーフにしていて興味深い。 あの状況を経験したのに、みよ子は器がデカい。
2023/06/17
Kanonlicht
日本犯罪史における猟奇殺人事件の犯人たちが地獄から現世に復活し、過去の犯行をセルフオマージュしたかのような犯罪を繰り返す。あまりに設定がぶっ飛び過ぎて、ミステリに見せかけたドタバタコメディかと疑うも、事件を推理する部分に関してはやけに論理的になるのがこの著者の特徴。その落差がくせになる。ただ、山盛りの伏線がそのまま放置されるので、いつか回収してくれることを願う。全然関係ないけど、読んでて「真・女神転生デビルサマナー」を思い出した。
2023/03/26
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