国道16号線 (新潮文庫 や 87-1)
国道16号線 (新潮文庫 や 87-1) / 感想・レビュー
あつひめ
帯に書いてある「自分の町が好きになる本」。そのとおりだった。私も16号線を走るバスを12年使っていた。道幅が狭いのに国道!!なんて悪態をついていたこともある。運転するときとか怖かったから。でも、住んでいたころは道の歴史なんて考えたことも無かった。興味を持っていたらもっと楽しくまた有意義な暮らし方をしたかも。知っていて暮らすのとそうでないのとでは大違い。昔を懐かしんで大宮まで行ってみたくなった。そして川越、八王子にも足を延ばしたい。行ったことのない横須賀、木更津も。歴史が苦手な人の取っ掛かりになる本。
2023/10/17
Inzaghico (Etsuko Oshita)
神奈川県横須賀市走水から、ぐるっと円を描くように東京を通って埼玉を通って終点は千葉県富津市だ。その国道16号線が日本を「創った」とはずいぶん大きく出たものじゃないか、とかねがね思っていた。読んでみると、たしかに江戸時代以前は、江戸(東京)よりも埼玉や千葉のほうが栄えていたとあり、16号線の地形のなせるわざだ、と知ってちょっと納得した。絹織物を支えた道路、そして現在はニューファミリー(死語?)を支えているのが16号線だ。
2023/08/28
紫の煙
現代の16号沿線のカルチャーを描いた本だと思っていたら、はるかに真面目な内容だった。旧石器時代から、コロナ禍を経て子育て世代が増えている2020年代まで、16号周辺について大いに語られる。東京をぐるりと囲んでいるのだから、人口が多く、交通の要衝となるのは必然だろうが、魅力的な都市が多いのも事実だ。
2023/08/24
ryo1
生まれた時から16号沿いに住んでいる者にとっては、この壮大な16号線ストーリーには感動すら覚えた。まあちょっと風呂敷を広げすぎた感はあるものの、関東をぐるっと1周するこの国道は、歴史を作ってきた道だし、現在の物流を支えいている道だと再確認できる。縦の歴史じゃなくて、横に広がる歴史書としても、再度16号線を愛するためにも、16号沿線に住む方は1度は読むことをお勧めしたい。ぶらっと一周の旅に出たくなりました。
2023/09/13
なおこっか
国道16号エリアが日本の文明・文化・経済を形作ったと言われるとえらく大風呂敷を広げたものだと思うが、16号エリアが台地のヘリで、御し難い大河川ではなく小流域に恵まれ、石器時代・縄文時代・古墳時代からの遺構も残ると指摘されると成る程納得。流域の着眼点でそうとわかったが『生きのびるための流域思考』が大変有意義で面白かった岸由二氏の弟子筋。低地より飛行場に適した平らな台地に米軍基地が置かれ、そこから文化が広まったのもわかるが、やや我田引水感もあり。己の生まれ育ちが絹の道地域なので、記憶に照らし楽しく読んだ。
2023/10/03
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