遠野物語 (新潮文庫 や 15-4)
遠野物語 (新潮文庫 や 15-4) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
この本が公刊されたのは明治43年だから、およそ100年前のこと。だけど、これはそんな時間を遥かに超えてやってくるような世界だ。空間的にも、遠野は実在のそれとは違って、なんだか夢の中にあるかのようだ。ここでは、神も、天狗も、ヤマハハも、死者も、人との接点を持っていた。そのことが強いリアリティを持って迫ってくる。しかし、それはやはりあくまでも夢の中のリアリティなのだが。「リアルな幻想」という相矛盾した感覚が、ここでは少しも違和感なく共存することができる。ページを開いた途端、そこには遥かな遠野の風景が拡がる。
2012/12/11
kaizen@名古屋de朝活読書会
遠野のトーはアイヌ語の湖。 ナイもアイヌ語。 タッソベもアイヌ語。 ライナイもアイヌ語にてライは死のこと、ナイは沢。 ヤチはアイヌ語にて湿地。 「蝦夷風俗彙聞」 「常陸国志」 マーテルリンク「侵入者」 「東国輿地勝覧」 「遠野古事記」を参考にしている。 獅子踊りの紹介あり。
2013/05/02
NAO
再読。身近な山や自然の霊的な存在、家の中に住む神様、自然の中に暮らす動物たちを主人公とした、古くから言い伝えられた多数の物語。厳しい自然の中で生きているからこそ、遠野の人々は、その自然と上手に折り合いをつけて、自然への崇拝を忘れなかった。そんな暮らし方が、数多くの情感あふれた物語を生み出していったのだ。こういった伝承を地道に拾い集めて記録として残した筆者の業績に感謝しながら、柔軟でおおらかな心が作り上げた物語を楽しむことができる精神を持ち続けていたいと思う。
2019/04/22
いおむ
嫁棚本。妖怪物の原典に思っていたが、地域に伝えられてきた話を口述筆記したもので、その内容は妖怪系に限らず仔細豊かな郷土の自然や生活スタイルを想像させてくれる内容。語り自体が短いのか筆者が意識して増長した部分を削ったのか(解説では後者)一つ一つは数行の短さだからこそ、頭の中で現代文に直しつつ情景や話の起源を想像する楽しみが大きかった。
2019/01/03
ゲオルギオ・ハーン
聞いたことはあるけど読んだことはなかったので借りて読んでみました。子供の時に親父の仕事で連れていってもらった岩手の山奥のことを思い出しながら読みました。さすがに書かれているようなオニババや座敷わらしや人喰いたちに会ったことはありませんが、雰囲気のある場所には行ったことがあるためイメージが出来ました。割と淡々と話が進みましたし、妖怪の名前を多少知っていると「こういうふうに書かれていたんだ」と分かる楽しさもあるので意外と気楽に読めました。
2021/07/12
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