毎日の言葉 (新潮文庫)
毎日の言葉 (新潮文庫) / 感想・レビュー
KAZOO
柳田国男の比較的一般向けに書かれた日常用いられている言葉についての解説書です。「毎日の」ということですが最近は使われていない言葉もあります。ただ言葉の意味だけではなく柳田の得意とする分野での地方ごとの分析やあるいは歴史的経緯によって変遷してきた意味なども書かれています。日本語についての名著は大野先生や丸谷さんの本などもありますがこれもその1冊です。
2022/12/17
佐島楓
「有難う」「すみません」など、日常で使う言葉の語源などが考察されている。もはや死語となってしまっている言い回しも多かった。方言が廃れているという報道を聞いたことがあるのだが、やはり学校教育とテレビ放送の影響だろうか。東京出身の私としては、方言に一種の憧れのようなものがあるので、守っていってほしいと願う。難しいことだとは思うけれど、土地の生活や文化への愛着のあらわれだと受け取っているので。
2011/10/22
gogo
昭和初期~戦後頃(1935-50年)に書かれた、日常会話で用いられる日本語についてのエッセイ集。江戸時代から使われていた地方の言葉が多く記録されている。私の出身地の事例で見る限りでも、執筆時点ではまだ使われていた多くの方言語は今やほどんど使われていない。各地の方言は、明治期以降に共通語や影響力の強い方言(関西弁等)に収斂されるかたちで、その豊かさを失ってしまったいうことだろう。ちなみに、柳田が本書で予測している言語変化はかなり外れている。例えば、一人称「僕」は今後廃れるだろうとの予測は全く当っていない。
2015/12/09
ダイキ
日本語の乱れという事が度々問題にされるが、それはこの本の中で柳田翁が述べられている事の域で考えられなければ全て戯言にすぎないのだろう。表題作含め全十篇、全て現在への我々の示唆に充ちている。中でも「どうもありがたう」は、この国の事を少しでも想う者が翁のその執筆中の心を慮りながら幾度も読み直すべき一篇と思われる。「きまり文句を積重ねて行く、おろかな流行が絶えないのである。これでは将来、特に痛切なる感情を、表現する言葉が種切れになるかもしれない。もう誰かが考へてくれぬと、国語は又一段と退化するだらう。」
2016/10/23
musa standers
「どうもありがとう。」など最近の言葉であるとは知らなかった。著者の祖父は、孫たちが「どうもありがとう」というと笑っていた。子どもが使うとおかしい感じがしたのだ。「こんにちは。」もいまでは普通だが、本来は「今日は~~~」と続き、中途半端に切ってしまっているので、と可笑しい感じに聞こえるものらしい。
2013/04/23
感想・レビューをもっと見る