仮面の告白 (新潮文庫)
仮面の告白 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
再読。三島は太宰が嫌いだと言ったが、強烈なナルシスムから発し、表現者としてそれに向かっていく両者の姿勢は、ひじょうによく似ている。ただ、太宰は性的なものをあくまでも忌避し、三島は逡巡しつつ「仮面」の語りの中でそれと向きあっていく。「私」の至高のエロスは「聖セバスチャン」にこそあり、畢竟マゾヒズムとオナニズムの究極の姿でもあった。そして、三島が「仮面」を被ることで隠さなければならなかったのは、まさしくそのことに他ならなかったのである。もちろん、この作品はフィクションであり、語り手の「私」=三島ではない。
2012/07/28
馨
三島由紀夫の自叙伝的作品です?凄く正直で、負けず嫌いな方だったとわかります。特に戦中、死が身近だった頃自分の死を受け入れのぞんでいるのに若さもあり体が生をのぞんでいたり。この頃既に三島はまもなく自分は死ぬと言っている感じがしました。特攻隊員や軍人と根本的に生き方が違ってたし、彼らみたいに死にたいと思っていたけど彼ら程の心持ちもなく、戦後鍛錬に励んで精神力を養うことで何十年か遅れたが自決し、彼らと同じになれた、と思えたのかな?と思います。
2014/02/02
遥かなる想い
中学校のころに本書を読み、非常に気持ちが悪かった。生理的に受け付けなかったのだろうと思う。三島由紀夫の時代、よく書き切ったものだと思う。
2010/06/12
ehirano1
著者自身の赤裸々な性的志向性の告白がることからある意味肉体的苦痛と美しさを以て描かれて描かれていました。一方で、本書は著者ならではの「孤独」というものを描かれているにも感じました。
2023/07/08
kaizen@名古屋de朝活読書会
p182「浮かぬ面持ちを気(け)どられまいために」p237「顔から血の気の引いてゆくのを気取(けど)られぬように」。田中美代子による注解。佐伯彰一による「三島由紀夫 人と文学」。福田恆存(つねあり)による「仮面の告白について」。年譜。新潮社から全集がでているとのこと。付録も豪華。1冊で三島由紀夫の全貌が分かるかも。昭和24年河出書房より刊行。新潮文庫100冊
2013/07/12
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