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禁色 (新潮文庫)

禁色 (新潮文庫)

禁色 (新潮文庫)

作家
三島由紀夫
出版社
新潮社
発売日
1964-05-04
ISBN
9784101050058
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禁色 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

再読。三島由紀夫26歳の時の作品。恐ろしいくらいの老成だ。その視点は60数歳になる俊輔をも見下ろしている。これは三島の『晩年』なのだろう。まったく女を愛せない美貌のゲイの青年、悠一をめぐる男たちや女たちの虚妄の愛の葛藤と精神の不在を描き、同時に形態としてしか存在しえない美の本質が描かれる。そして、この小説は斬新でありつつも、同時にきわめて古典的な物語でもあった。

2012/05/20

遥かなる想い

老作家楡俊輔が、南悠一という女性を 愛せない美青年を利用して、かつて 自分を苦しめた女性たちに復讐する…こう書けば、かなりおどろおどろした 話を想起するが、三島はこれを淡々と描いている。『豊饒の海』のような 壮大な小説を書く一方で、軽い大衆小説を書いていた、という三島の2面性が窺えるようだ。私は淡々とした小説にはあまり入り込めないタイプなので、ちょっとがっかり。

2010/06/12

青蓮

急に読みたくなったので、再読。ここに貫かれてる哲学を理解するのは、やっぱり私には難しかったです。正直に言って良く解らなかった。でもストーリーがとても面白い。完璧な美を持つ、女性を愛せない悠一。彼はどんなに人から愛されても、常に孤独だったように思う。自ら他者を愛さなければ、人は永遠に孤独なのだ。俊輔は得られなかった「美」を、悠一を使うことで「女」に復讐していく。しかし俊輔は「美」に敗北して、白旗を上げるしかなかった。それ故に彼は最期、死を選んだのだと私は感じました。そして鏑木夫人が素敵。また再読したい作品。

2016/07/16

ナマアタタカイカタタタキキ

THE 男色小説。記憶が正しければ、私が生まれて初めて読んだ三島だったはず。代表作ではないにせよ、捉え方によっては『仮面の告白』よりも、三島由紀夫とは何者であったか、色濃く現れている作品だと個人的には思う。改めて読んでみると、通俗的といえばそうかもしれないけれど、やはり何処を切り取っても箴言ばかりで、初めての一冊がこれで良かったと今でも思う。晦渋すぎず、口当たりが良いお酒のように、心地好い酔いに浸ることができるからだ。ワイルドの『ドリアングレイの肖像』と並んで、若き日の私の読書観に大きな影響を与えた一冊。

2021/09/05

青蓮

以前途中で挫折したものの、今回はなんとか完走できました。でも難しかった。この作品が三島由紀夫26歳の時に書かれたそうで、それにも驚きました。俊輔の最期を思うと、美と言うものは絶対的な権力であり、それを前にして最早屈伏するしかないのだなぁと思いました。美の化身である悠一は自ら誰も愛さず、超然として孤独な存在だなぁと思いました。あと、鏑木夫人が結構好きなキャラでした。

2015/05/14

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