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金閣寺 (新潮文庫)

金閣寺 (新潮文庫)

金閣寺 (新潮文庫)

作家
三島由紀夫
出版社
新潮社
発売日
2003-05-01
ISBN
9784101050089
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金閣寺 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

再読。作者31歳の時の記念碑的作品。冒頭の1文から末尾の1文に至るまで、信じられないくらいに精緻に組み立てられた小説。失われた有為子と、厳然としてそこにある金閣。内界と外界。認識と行為。主人公の溝口は、こうした対立項のことごとくを、負の方向へ止揚していく。そして、この小説は、美の崩落性を言語によって構築するという矛盾を十全に承知しながら、あえてそのことに挑んでいるのだろう。

2012/06/02

長編。素晴らしいの一言でした。予想ですが三島由紀夫が作家として、ある意味一番頭の良かったというか脂ののっていた時期の作品なんじゃないかと思いました。美しい文章を一語一語忘れないように読みたかったので時間をかけて読みました。登場人物のせりふの中にところどころ出てくる哲学的思想は、三島本人の思いが沢山詰まっている気がしたし(特に柏木)、主人公の性格は全然違うんだけど三島由紀夫となんとなくかぶってしまいました。理解しきれなかった部分も結構あるので何回も読み返したくなる作品です。

2014/06/29

パトラッシュ

三島由紀夫は「美」をテーマにした作家であり、その美に魅せられた人間が狂気じみた行動に走り破滅する姿を繰り返し描いてきたとする評論家がいた。しかし最近、三島の描く美とは昭和天皇のメタファではないかと唱える人が出てきた。金閣は天皇で住職は「君側の奸」であり、日本の美の中心であったにもかかわらず敗戦後はアメリカに媚を売って存続した天皇への怒りと幻滅のシンボルとなる。つまり本書はローンウルフ型テロリストが天皇暗殺を果たすまでを描く恐るべき政治小説に読み替えられるわけだ。そう考えれば納得できる部分も多々あるのだが。

ehirano1

「究極の美が滅びゆく時」に対して「行為を起こすか、認識を変えるか」の二択の境界線上で揺り動かされる主人公が超絶妙に描かれていて圧巻でした。

2024/04/14

mura_ユル活動

ずっと温めていて読まなかった本。まさに狂人。劣等感、相手に劣等部分があれば、その人と同格で話すことができる。美について、「美は何か」を問う。永続する美の悪。先日60すぎの会社の人と飲んでて、私の生まれ年を言ったら、「大体、三島由紀夫の自決した年だ」と言われた。そして自決した時、三島さんは45歳で今の自分の歳に近しい。親近感のようなものを感じた。『金閣寺』新潮で連載が昭和31年。文庫化は昭和35年。金閣寺、再度ディテールまでまじまじと観賞したい。

2016/08/04

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