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宴のあと (新潮文庫)

宴のあと (新潮文庫)

宴のあと (新潮文庫)

作家
三島由紀夫
出版社
新潮社
発売日
1969-07-22
ISBN
9784101050164
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宴のあと (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ハイク

再読。この本で東京都知事選挙を題材にプライバシー裁判で世の中を賑わした。日本では裁判で名が知られたが、海外ではこの本が高く評価され、海外で文学賞受賞した。小石川で料亭を営む女将の福沢かづは50代の独身で大物保守政治家に贔屓にされ繁盛していた。そんな客の中に革新系の元大使野口雄賢が現れ、お互い惹かれついに結婚する。そして野口は革新政党から押され東京都知事選に出馬する。かずは大いに奮闘したが野口は負ける。この本は社会的小説であるが、描写は三島文学の特徴を遺憾なく発揮し、日本における代表的な作家となった。

2016/04/18

ヴェネツィア

再読。表題の付け方がうまい。たしかに選挙は、それに関わった当事者たちすべてにとって、壮大な宴だろう。そこに至るまで、その渦中、そしてその後までの展開が実に緻密に、またゆるぎないリアリティをもって描かれる。特に主人公かづの強さと凡庸さ、そして彼女の一連の行動を通して浮かび上がる、保守と革新両陣営それぞれが持つ、ある種の本質がそこに見事に浮かび上がってくる。物語の最後が、宴のあとの虚しさに終わらないところにも、三島らしい洒脱なエスプリが効いている。

2012/06/30

遥かなる想い

元外務大臣・東京都知事候補の有田八郎との間のプライヴァシー裁判であまりにも有名になった小説。都知事候補と彼を支えた女性の恋愛と政治の葛藤を描くという、三島由紀夫にしては、社会性の高い作品で意外な面を見た記憶がある。

2010/06/12

じいじ

これまで読んだ三島作品の中では一番難解で、難しい言葉も飛び出して辞書のお世話にもなったが、私の好きな「選挙」がテーマなので面白く読めた。舞台は小石川の高台に佇む、政・財界人を主客とする日本庭園が自慢の高級料亭。女主人が支える都知事を目指す男との恋愛と、選挙の裏側を鋭く抉った三島の力作である。女手ひとつで政界のツワモノを相手に事業を成功させた女傑が、革新系候補を担いで、保守系候補と一戦交える本筋はめっちゃ面白いです。これぞ大人の女と男による、虚々実々の駆け引きが面白い恋愛小説である。

2021/01/27

新地学@児童書病発動中

都知事選をテーマにした三島由紀夫の小説。純文学ながら作者のストリーテーリングが冴えており、読み出したら止まらくなった。いろいろな登場人物が入り乱れる選挙戦をダイナミックに描く三島由紀夫の筆は生き生きとしており、社会的な事柄をきちんと把握できる作家であることが分かった。華麗な文体と皮肉な人間観察はこの作品でも生きており、三島文学を読む楽しみを与えてくれる。選挙に負けて傷を負っても自分らしさを失わない女主人公が一番魅力的で、作者が自分の分身のように感じながら、作り上げた登場人物ではないかと思った。

2014/08/14

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