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豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)

豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)

豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)

作家
三島由紀夫
出版社
新潮社
発売日
1977-11-01
ISBN
9784101050232
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豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

『豊饒の海』4部作の第3巻なのだが、壮麗なエンディングは、あたかも完結編ででもあるかのようだ。これまでは「記録者」の位置に徹してきた本多がこの巻の主人公だが、その立ち位置は基本的には同じだ。『春の雪』では清顕ともども若かった本多も今や初老の域にさしかかっていて、その造形は『禁色』の檜俊輔を彷彿とさせる。また最後の場面は、『金閣寺』を想起させるなど、三島文学の集大成へと向かっている感が強い。時間的には、戦争末期から戦後にまたがっており、そのスパンの長さも小説にスケール感の大きさとなって反映されているだろう。

2013/07/09

遥かなる想い

本編は「豊饒の海」シリーズの中では、正直猥雑の世界を 描いている。「本多繁邦」という目を通して、最終の「天人五衰」へと 繋げるための 物語なのだろうか。優雅→壮絶→猥雑の世界を書き切っている。

2010/06/12

れみ

お芝居観るための予復習その③戦争の気配が迫るなか、弁護士として名を成した本多が、仕事で訪れたタイで、清顕・勲の生まれ変わりと思われる幼いジン・ジャン姫と出会う第一部と、美しい姫となり日本に留学した彼女と再会する第二部との二部構成。なんとも難解で読み辛い巻だった〜(>_<)それというのも、前二巻では自らの内面を語りながらも傍観者として存在していた本多が物語の主人公になったこと、勲の事件に関わったことで清顕の生まれ変わりが本多のなかで「事実」となったうえにタイとインドでの体験が上積みされ、輪廻転生の世界に →

2018/11/25

ナマアタタカイカタタタキキ

表題の割に、強く印象に残ったのはベナレスの光景の方だった。インドでの深遠な体験から、仏教の輪廻転生の世界へとますます傾倒していく本多だが、これらに関連する件は私には少々難解で、一度読んだだけでは充分に咀嚼できなかったように感じる。後半からやや平易になるが、唯識、阿頼耶識に対する正しい理解が完全に成されていないままだと、只々重厚なレトリックに目が眩んだまま過ぎてしまうよう。その中でも、心身共に変容を齎す老いの残酷さと、ジンジャンの(内面があまり明かされないためにより強調された)肉体的な美しさの対比は印象的。

2020/11/10

Kepeta

ほ、本多ァ!...古今東西の教典を参照し哲学的思考の果てに行き着いた先がド変態ロードとは...完全に想定外でした。完全なる観察者=神の視点に達する以上、覗き魔になるしかないというのはわかります。美しいものが「見られていると自覚せずに生の美しさを披露しているのが一番美しい」のもわかります。けどねえ...本多... 本作は「死に損なった人」ばかり出てくるのが印象的。観念的な美にこだわり、世の醜さと老いの無残さを嫌悪した以上、三島先生はああいう散り方をするしかなかったのかもなあ。あと1巻、物語の決着が楽しみ。

2019/07/15

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