アポロの杯 (新潮文庫 み 3-32)
アポロの杯 (新潮文庫 み 3-32) / 感想・レビュー
優希
初期から晩年にかけて書かれた評論から10編を選りすぐったエッセイ集です。多彩な着眼点で描かれた文章はどれも面白く、興味深く読めました。
2023/12/09
Gotoran
紀行文、文学評論、演劇論、作品論、政治論など、全10編の作品を収録。その中から表題の『アポロの杯』について:20歳代初めての(1951年12月から翌1952年5月までの約4ヵ月半に亘る)世界旅行の見聞録で航海日記、から北米紀行、南米紀行、欧州紀行からなる。太平洋を渡る船上での太陽との出会い、ブラジルでのリオのカーニバルの体験、憧れの地ギリシャ入りの感動と内奥の潜在意識を顕在化させた体験など、著者の感動の旅を味わうことができた。
2021/09/23
双海(ふたみ)
表題作「アポロの杯」をはじめ、一篇一篇に惹かれるものがありますね・・・。本書は絶版なのですか?勿体ないなぁ・・・。
2014/07/06
sabosashi
冒頭の紀行文「アポロの杯」および最後の「小説とは何か」という長めの作品の語ることですべての三島作品を括ることができるのではないだろうか、と思ってしまいそうだ。その間には八篇の小品が並び、その切れ味の多様さで読むものに豊かさを与えてくれる。最後の作品は自決のわずか前、すでに志は固まっていたはず。「死の決意が人に与える透明無類の万能性」などということばがころりと転がってくるところなど一抹の哀しさなしでは読めないかもしれない。「作品外の現実が私を強引に拉致してくれない限り、私はいつか深い絶望に陥ることであろう」
2015/12/30
hitsuji023
「航海日記」「北米紀行」「南米紀行ーブラジル」「欧州紀行」「旅の思い出」からなる長編紀行と各種評論集。行く先々での著者の詳細な描写によって、あたかも自分がそこにいて見ているかのような気になった。しかし、その土地の彫刻・絵画・演劇については私に知識がなく正直いってよくわからなかった。ただ、その描写や表現力は凄い。 最後に気に入った一文。 「旅先では、悪もわれわれの心を悲しませず、もっと喜ぶべきことは、やかましい幾多の美徳も、われわれを悩ますことがないのである。」
2014/08/19
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