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花ざかりの森・憂国 (新潮文庫)

花ざかりの森・憂国 (新潮文庫)

花ざかりの森・憂国 (新潮文庫)

作家
三島由紀夫
出版社
新潮社
発売日
2020-10-28
ISBN
9784101050416
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花ざかりの森・憂国 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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キムチ

三島の是非が全て投入されている1冊。とはいえ「憂国」が怒涛過ぎて「卵」以外、脳に染み入っていない。死への憧憬の道に踏み込んだ歴史がない私には理解を越えた語の連発。一語一語が研ぎ澄まされている。青年将校暴走後の出来事‥武山と麗子の自死。白と紅が情念の世界で広がる。ふと、ヴィスコンティを思い出した。耽美というか己あるのみ、世界は既に閉ざされ、繭の中で完結している様。「夫の既に領有している世界に加わる事実の喜び。生と死を分かつものが精神的に融解している。。執筆時1960・・ミシマはあの世界へ歩き出していた感じ。

2024/10/18

けぴ

16歳で初めて書いた小説『花ざかりの森』をはじめとした自選短編集。『遠乗会』、『橋づくし』など欧米の洒落た雰囲気のあるものから、『卵』、『百万円煎餅』などはちゃけた感じのものまでバラエティー豊か。しかし群を抜く存在感は『憂国』。ニ・ニ六事件をモチーフに軍人夫妻の自決までを色濃く艶やかに描く。三島自身も、「三島のよいところ悪いところすべてを凝縮したような小説」と表現している。この短編のみを読むことでも十分な一冊。

2021/12/22

活字の旅遊人

村田沙耶香のあとは三島由紀夫を読みたくなる。なんでだろう? 表題作の一つである『憂国』は圧倒的な美しさと強さを感じる作品だった。少し前に読んだ『英霊の声』とともに、三島由紀夫の中身の一端を明確に表現していると思う。一方『花ざかりの森』はなんだかこねくりまわした若造の文章という印象で読み返しても馴染めず。『憂国』以外では『遠乗会』『橋づくし』『女方』『詩を書く少年』が好きだな。『卵』『月』は頑張って書いたけど……という本人解説通りの感想をもった。こういう作品もあるんだあ、と驚きつつ。

2022/08/03

セロリ

最初の2編を読んだときは、最後まで読めるか心配になったけどその後の10編は良かった。最後の『月』はそうでもない。『憂国』がイチオシなのだろうが、戦前の切腹文化が嫌いなので、自刃に陶酔する中尉と彼に従う自分に陶酔する妻が、ひどく滑稽に見える。しかし、腹を切るところから死に至るまでの描写はすごい。生々しい。その死に様は、美しくもカッコよくも書かれておらず好感が持てる。美しい死なんてない。わたしは『女方』が一番好きだ。女方の役者に惹かれる男が幻滅を感じると同時に嫉妬している自分を自覚する終わり方がいい。

2022/04/08

ちえ

「金閣寺」読了後に読友さんから「憂国」を勧められ「憂国」読了、暫く時間をおいて今回他の短編も読んだ。一言で言うと(三島由紀夫、こんなに面白かったのか…)自選短編集。作者自身が「一編だけ、三島のよいところ悪いところすべてを凝縮したエキスのような小説を読みたいと求めたら『憂国』の一編を読んでもらえばよい」と書いているように出色(三島自身の解説とても興味深い)。他も色々なタイプの話、文体があり殆ど全て面白かった『遠乗会』『卵』『牡丹』『女方』『百万圓煎餅』が好み。美しい文章も堪能でき満足。読友さん達に感謝。

2024/09/10

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