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禁色 (新潮文庫)

禁色 (新潮文庫)

禁色 (新潮文庫)

作家
三島由紀夫
出版社
新潮社
発売日
2020-10-28
ISBN
9784101050430
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禁色 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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NICKNAME

自分が今まで読んだ三島作品の中で最も長かった。主人公悠一は女性を愛することのできない非常に容姿端麗なゲイであり、その彼を色々な人々が色々な形で愛するという話。今まで読んだ三島作品の中ではエンディングの衝撃度は抑えられていて、予想外にある意味心地よい。ゲイの世界に関して非常に詳細に描かれているが、著者自身がゲイでないとそれは出来ないと思う。三島の奥さんは否定しているとのことだが三島がゲイであったという事は明らかであると思う。

2022/01/17

原玉幸子

粗40年振りの三島の小説は、「これが自分が若い時分に興奮した三島由紀夫だったのか」と戸惑う作品でした。全ての言動に難しい言い回しはしていますが、性愛そのものや性愛の先に何があるのかも、又言語で表せない何かがあるのかも、彼は語りもせず予感すらも感じさせないのは、昔好んで読んだ作品にあると信じていた、彼の「美への畏怖」とは大きく離れていて、彼の性愛に対するどんな感性が創作の衝動になっているのか……うーん、世界の「切り取り方」が違うんだよなぁ(大岡昇平『武蔵野夫人』の恋愛が時代?)でした。(◎2022年・秋)

2022/09/23

十川×三(とがわばつぞう)

面白い。異性を愛せない絶世の美青年主人公を、過去邪険にしてきた女性の元に送り込み復讐を図る老作家の物語。設定から秀逸。三島美文を堪能。▼男色家が集まる店、外国人の集まるGayParty、自分では到底想像の及ばない異世界を楽しめた。▼難しい言葉はネットで調べノートに記録。▼アメトーーク読書芸人、ゾフィー上田氏の紹介で読んだ。

2023/11/08

コージー

★★★☆☆老作家・檜俊輔が、女性を愛せない美青年・南悠一を利用して、自分を裏切った女性に復習する話。どのようなステータスの高い男性も女性も、悠一の美貌の前に屈し身も心も捧げてしまう。しかし悠一は、人を心から愛することができず、沢山の関係を持つことになる。また、悠一の傀儡師である檜俊輔の計略によって、一般の女性と結婚し子どもも授かる。同性愛の生々しい描写が刺激的ではあるが、「男性」として一般の社会を生きようと苦悩する悠一の姿こそが、この小説の見所である。幸せとは、世間が認める綺麗な型の中にあるのだろうか。

2023/03/01

nami

比類なき文章の美しさは勿論のこと、恐ろしい世界を開いてしまった...というような衝撃、他人には到底理解し得ない感情の仔細な表現が詰まっていて、読み終わった後には些かの倦怠感が残る。何と言ったらいいかわからない。一言で纏めるなら、これが率直な感想だ。全体的に汚濁と醜悪で満ちているが、その中でこそ美しい感情が煌めいて見える。俊輔と契約するか否か、悠一にとってはどちらが幸福だったのかと考えさせられる。「どちらが幸福だったか」ではなく、「どちらがマシだったか」と言った方が正しいかもしれない。

2023/02/19

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