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音楽 (新潮文庫)

音楽 (新潮文庫)

音楽 (新潮文庫)

作家
三島由紀夫
出版社
新潮社
発売日
2021-10-19
ISBN
9784101050546
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音楽 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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優希

面白かったです。精神科医の手記という形で物語が進むのは、三島にしては珍しいと思いました。少女期に兄と近親相姦に陥り「愛」のオルガズムを味わったことで、恋ができなくなった麗子の自我に翻弄される汐見医師。これは女性の性の複雑さ故の物語なのでしょう。悪魔的魅力の異色作と言っても良いと思います。

2024/04/26

ぼむ☆

三島の書く音楽の小説とはどんなものだろうという興味からこの本を選んだが、それはミュージックにあらず。『女性のエクスタシー』の比喩だったのだ。音楽が聴こえない(不感症の)麗子を診察する精神分析医の手記の形をとった小説である。麗子に巣食う原因を探っていく過程はあたかも推理小説のようであり、そして最後にはしっかり解決される様は娯楽作品としても大いに楽しめた。また主人公の心理分析が非常に巧妙であり三島が作家であることを疑ってしまう。性的テーマを扱った内容ではあるがいやらしさはなく、また文体の素晴らしさは三島だ。

2022/02/28

銀の鈴

澁澤龍彦の解説の文章が意外にもすこぶる読みやすくいことが印象的。本作品は三島由紀夫の中でも少し独特なカテゴリもしれませんね。

2023/04/07

ふくしんづけ

「音楽」という、触れざる他人の性への、慎ましやかなアプローチがまた、いいのである。これを思うと、いかに傲慢に、頭の中であけすけに、人間の性を玩具に、偶像ですよと言い訳して、人形ごっこに興じるの多いことか、と思わざるを得ない。それから、「分析室」という場。このふたつがこの作品において、すごく、効いているのである。主人公の汐見は終盤まで、この部屋をでることがない。代わりに、医師の元には麗子からの手紙が届き、読者はそこから外の世界へでることができる。この舞台設定のコントロールぶりが凄まじい。

2022/05/13

asuwanna

面白かった…!三島作品には珍しく平易な文体で、頭脳の平凡な読者である自分にもとても読みやすく最後まで一気に読めました。難しい比喩表現が連続しているような作品だと、理解できなくて頭が混乱して読み疲れる&自分の頭の出来の悪さに自己嫌悪に陥ることが多々あるのですが、この作品に限ってはそれが皆無だったので、自己肯定感を保持できて満足できる読書体験でした。金閣寺、仮面の告白、短編集と来て、少し疲れてこの作品で頭をほぐした後は、再びガチな作品に戻ろうか。

2023/11/02

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