いま私たちが考えるべきこと (新潮文庫 は 15-5)
いま私たちが考えるべきこと (新潮文庫 は 15-5) / 感想・レビュー
練りようかん
世の中の問題が分断と対立に煽りがちな令和に読む、仕方ないですますか闘争相手にするか二つしか選択肢がないのは人間として貧しい考えだと警鐘を鳴らした平成の本。自分のことを考えろと言われてまず自分を考える人と、他者のことから考える人がいる。恋愛相談の結果恋仲になる男の飼う不幸や、既に解決手段ではなくなっていたイラク戦争などいつも通り遠近自在で、最後にあー!はー!のシュルシュルとまとまる感覚が面白く流石だった。ワレもジブンも一人称で二人称な日本語。“我思うゆえ我あり”が今まで以上に深い言葉に響いた。発見が嬉しい。
2024/11/01
Bartleby
「〝自分のことを考える"が、そのまま〝他人のことを考える"になってしまう」人がいる。「自分で考えろ」と言われると「他の人たちはどう考えるだろう」とシミュレーションして他人が出しそうな結論を「自分の答え」として出す人だ。本書は話を進める足がかりとして、ひとまずそんな人たちを読者に想定している。まさに自分がそのタイプだと思った。シミュレーションモデルになる他人がいないとすぐに途方にくれてしまう。この本のおかげでそうなってしまう理由についてはある程度理解できたけど、自分で考えることの難しさも改めて感じさせられた
2011/05/12
shouyi.
「まえがき」で諦めず最後まで読み通すと、表題の答えは出ないけれど、いま自分が立っているところがハッキリと見えるようになりました。自分と他人の関係性が私たちと言うことばで説明されています。
2022/02/17
13km
橋本さんの文章がちょっと苦手なんだけど、内容はすごくためになるというかほーっとうなる話。正直、内容よりも文章のぐるぐるさに頭が持っていかれ気味になってしまって不思議なトリップ感に襲われました。
2012/10/09
ひらぱー
『子どもが子どもだったころ』と並ぶ今年ベスト2。「おれみたいなやつは他にいない」と書いているのは本音かどうか知らんけど、物事をちゃんと考えられる人間はやっぱりどこかにはいるんだなぁ、と思うとちょっぴり安心する。「個性は傷」論は賛成できんけど、義侠心による恋愛とか前近代vs近代はめちゃ面白かった。
2010/04/22
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