夜明け前 (第1部 下) (新潮文庫)
夜明け前 (第1部 下) (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
幕末の状況として新選組や尊皇攘夷は知ってはいたが、この作品を通じてそれを血肉化したものとしてひしひしと感じることができた。もっとも、これまでの知識は全く不十分であり、千人を越える水戸浪士たちによる東山道への進軍とその結末にいたる顛末は初めて知った。考えてみるまでもなく、そんなに簡単に幕府から明治新政府への政権交代が行われるはずがないのである。維新後の戊辰戦争は教科書にあっても、幕末のこうした状況はあまり知られることがなかったのではないだろうか。また、将軍慶喜誕生の経緯と彼の果たしたことも大政奉還の一言で⇒
2023/11/20
mukimi
これまで読んだ本の中で最長かもしれない…やっと半分。理想に燃えながらも家業に専念せざるを得ず時に焦燥感に駆られながら生きる主人公は三十代後半となり、大政奉還を迎え第一部終了。日本史の知識が乏しいためたくさんの地名や人名や歴史背景に何度も立ち止まりGoogleで調べ物をしながら読んだ訳だが、これを百年前に粛々と書き上げた島崎藤村の情熱と筆力情報収集力は圧巻で、詩人や小説家の域に留めてはいられない。タイトルの「夜明け」が何を指すのか、ここまでは大きな波乱のなかった主人公の人生に何が起こるのか、第二部へ続く。
2024/01/17
のぶ
下巻に入っても幕末の激動の変化は続いている。参勤交代制度は廃止され木曽路の街道筋にも変化の兆しが表れてきた。馬籠という中山道の宿場で見ているからその変化が大きく捉えられるのだろう。大政奉還が近いだろうと噂が漂う中、半蔵の仕事も忙しさを増す。やがて、鎖国のとかれる日も近づく。長州征伐も失敗し、徳川慶喜は、薩長芸三藩の同盟が成立していよいよ討幕という時に大政を奉還した。これから明治を迎えようとしたところで、第一部は終了。この先明治維新でのさらなる変化で、木曽路はどう変わっていくのか?先が楽しみです。
2022/05/17
優希
時代は慌ただしく動いているようです。参勤交代を廃止したことで通行の忙しさなどが挙げられていました。長州征伐の失敗、大政奉還など、時代は江戸から明治へと移っていくのがわかります。鎖国解禁も日の問題でしょう。古代への復帰を彷彿とさせました。二部も読みます。
2019/01/10
NAO
第一部下巻は、大政奉還まで。平田派国学者の視点から見る尊王攘夷、水戸藩・尾州藩の動向、激動の時代の宿場の本陣・村の庄屋の仕事などが詳細に描かれる。変わり行く時代、その変化の現場に自分も参加していたいという思いがありながら、本陣・庄屋の主として村から離れられない半蔵の焦燥が、あまりにも青臭く、痛々しい。
2020/03/17
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