くまちゃん (新潮文庫)
くまちゃん (新潮文庫) / 感想・レビュー
❁かな❁
少し前に映画『愛がなんだ』を観てすごく良かったので積んでた作品読みました。登場人物たちがふったり、ふられたりして繋がっていく連作短編集。『愛がなんだ』でも感じた空気感そのままでこんな恋愛してなくても気持ちわかってしまうところもあり、ひりひりした。ふった人が次のお話では恋をして必死になってたり我慢してたり…。同じ人物に思えないくらい違ってたりもする。「くまちゃん」に出てきた苑子が「光の子」に出てきたのも良かった。そのラストで涙が滲んだ。角田さんすごい。ふられ小説だけど恋したくなり清々しい気持ちになれる作品。
2019/07/09
yoshida
ふってふられる恋愛連作短編集。ふったつもりがふられた痛み。これは途中で諦めた恋愛への私の気持ちだったりする。私もいい大人なので、それなりに恋愛をしてきた。30歳の頃に知り合った女性と、付かず離れずの付き合いをした。何度か会っているうちに、彼女には遠距離の恋人がいると話される。明らかに私の好意が伝わったから話されたと思う。転勤しても、ふっと連絡が来てふらりと会う。都内に出向していた時も、長期研修に来ていた彼女と会う。私に相手がいた時は会わなかった。離婚後に会って終わりにした。胸に残った痛みを思い出す作品集。
2020/10/25
ミカママ
またまた出会いました。角田さんの書いた、「ページをめくる手がとまらない、それでいて終わって欲しくない」作品。主人公が次々(順繰りに)失恋していく、という、私の大好きなパターンの連作短編集。かくいう私も、もちろん過去に身も千切られるかの失恋を経験しましたが、そんな過去を思い返しながら読了。ラスト「乙女相談室」で、元夫と再会するシーン、胸にぐぐぐっとくるものあり。それでも人って懲りもせずに、また恋に落ちちゃうものなんですよねぇ。うふふふふふ。
2014/07/25
mukimi
はぁぁなんて痛い痛い読後感。登場人物が毎章振られていく連作短編集。「どうだ。負けっぱなしの恋愛をしたことがあるか。ないだろう。どうだざまあみろ。」というゆりえの言葉がとにかく痛くて痛くて心がひりひりしてでもなぜか気持ちよくてすかーっとして、わーっと走り出したくなった。色々な痛みを知って、以前とは違う場所にいる自分に気付く、そしてまた、新しい1日を迎える。馬鹿みたいに泣いたよね、あの頃の私…。そう思えたら既に前進している。あとがきでは角田さんの恋愛観や仕事観も垣間見えてさらに角田作品を読みたくなった。
2020/05/02
chimako
独特の失恋リレー連作集。はれた惚れたの恋愛小説は苦手な年頃となって久しい。これも若者の恋愛が描かれるが、角田さんだもの、どこにでもある好きだ嫌いだ……くっついたり別れたり……とは違う味わいのある短編がリレーされていく。とてもついていけないなぁと思う話しもあるけれど、どこかで「そういうこともあるし、嫌いじゃなくてもやっていけなくなることもあるな」と納得する話もある。イラストレーターの林と料理人文太の話が好きだった。文太の子どもの名前は久太。林の胸の内を思いグッと来た。
2024/06/07
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