風 (新潮文庫)
風 (新潮文庫) / 感想・レビュー
きーしゃん
面白かった!ゆはずさんに感謝^^ミステリータッチでありながら、最後に、生きるということ、社会の中で営むということ、幸福とは何かということなどをまとめあげており、一気に大波が如く押し寄せてきた。書かれた時代を考えると、命がけで表現されたのであろう。混沌とした時代の中でのぶれない作者の人や社会を見る眼を感じる小説であった。今の時代にも十分に当てはまるし、根本は何も変わっていない。題名をどうして「風」にしたのであろうか。平衡論はわかるのであるが、生活の川のほうが印象深かったので、「川」の方がいいなと思った。
2019/08/28
y_e_d
本来裕福な家に育った、主人公の佐賀素子。恋人・瀬川と駆け落ち同然に家を出た末、これまた裕福な小布施家に派出婦として働くようになる。小布施家の夫人であるけい子・娘のたか子、居候している義弟・譲次、その友人である医者の秋葉、もうひとりの派出婦であるとき子・・・登場人物らが、思想・恋愛・貧富の差などが絡み合う人間模様を描くが、山本作品には珍しく伝えたいことは何なのかが今ひとつぼやけている、というのか、自分には明確に伝わらない不思議な物語。一般庶民が抱える社会的な問題を気取らずに表現してみたかったのかもしれない。
2017/09/15
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