米百俵 (新潮文庫 や 1-10)
米百俵 (新潮文庫 や 1-10) / 感想・レビュー
おせきはん
苦しい生活を送る長岡藩に支藩から届けられた米百俵を藩士に配らず、学校設立資金にしようとした大参事小林虎三郎と藩士たちが対峙します。藩士に分ければ一日か二日でなくなる百俵の米を、教育投資の元手にして人物を育て、将来、百万俵にしようとする長期的な視点と、刀を突き付けられても一歩も引かず、逆に「常に戦場に在り。」と一喝して一緒に苦境を乗り越えようと訴える強さを持つ、小林虎三郎のスケールの大きさに感動しました。
2020/04/13
冬見
戊辰戦争で焦土と化した城下町・長岡へ送られてきた見舞いの米百俵。米の配分を求める藩士に対し、米を売り学校を建てると通達した大参事小林虎三郎の元へ藩士たちは詰め寄るが……「米百俵の精神」を広く知らしめた戯曲作品。 佐久間象山の読みについて問い合わせが殺到し、ちょっと調べてみるかとあちこち当たった結果、思っていた以上に深い穴に落ちてしまい迷路を彷徨った有三先生が律儀で可愛い。と同時に、こういう研究姿勢は見習わねばなあと、戯曲そのものの内容とは関係のないことだが、そんなことを思った。
2019/04/10
はちこう
著者は、小林虎三郎の地元での伝承や僅かな記録から、戦時中に戯曲「米百俵」を発表している。北越戦争にて河井継之助と対立していた虎三郎は、火事見舞いに来た継之助に何もお返しするものがないから俺の意見を返すと言って継之助を非難し、継之助に「小林はエライやつだ」と言わせた人物でもある。「俺は人物を作る」と言った虎三郎の思いが、六十九銀行の頭取となる岸宇吉や山本五十六らの立身に繋がっている。改めて教育の大切さや人間を尊重することの意義について考えさせられた。
2021/05/09
フジコ
戊辰戦争で焦土と化した城下町・長岡。窮状を見かねた支藩より届いた見舞いの米百俵。小林虎三郎という人物は「百俵の米も、食えばたちまちなくなるが、教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」「人物をつくるのだ。人物をつくって長岡を復興させるのだ。新しい日本を立ち上がらせるのだ。」と、米の配分を心待ちにしていきり立つ藩士たちへ諭す。長岡に学校が作られて以降、歴史に名を残した逸材の数々。人間を作ることより大切なことはないという考えを抱いていた山本有三と小林虎三郎。日本の未来、地球の未来へ向けて教育の最重要性を学ぶ。
2012/06/26
よっちゃん
有名な米百俵の話。勝てば官軍と言われた幕末の戦いで長岡は焼きの原になってしまった。その中で人材育成が大切あると説き。学校を作り人材を輩出した長岡。長岡を結果的に焼け野原にしてしまった河井継之助どちらも偉大な人達。今の政治家、表の顔と裏の顔の両方を使い分ける人達が政権の中枢に居ることは残念ながら事実、よく候補者を見なければならない。
2023/04/21
感想・レビューをもっと見る