ある偽作家の生涯 (新潮文庫 い 7-2)
ある偽作家の生涯 (新潮文庫 い 7-2) / 感想・レビュー
kawa
井上氏の戦後間もなく発表の短編集。エンタメ等と言う概念がなかっただろう時代の読み手に媚びないハード・ワークが眩しい。当時の読み手のレベルも高かったのだろうか。一瞬腰が引け、他の積み読本に食指と思うのだが、読み進める内に目眩くる井上ワールドに持って行かれる。史伝中でナンバー3,4辺りの人物の視点からの物語が新鮮。表題作、澄賢坊覚え書、漆胡樽、信松尼記が好み&印象的。
2024/06/05
ゆりあす62
「風林火山」の続編とも言うべき勝頼の腹違いの妹の話。短編で「信松尼記」が入っている。これは一番好きな本で、特に冒頭の家族一同が集まる場面は唯一無二。(熱くなりすぎました。あくまでも個人的意見です。)
ふみえ
挫折覚悟だったが意外に読みやすい。会話が少ない分、語られる言葉が印象的。人の一生は思い通りにならない事ばかり。抗おうが受け入れようが、大差はないか。生きることに大層な理由付けしないで寿命を全うしようと思った
2023/10/08
おっとー
Kindleでの初読書作品。表題である「ある偽作家の生涯」をはじめとする短編集。どの短編も、歴史の表舞台に立ち、スポットライトを浴びるというよりは、むしろその光が生み出した影に隠されてしまった、あるいは自ら影をつくりだした人やモノたちの数奇な運命が描かれる。決して幸せとはいえないけれど、その運命の中に潜む個性が、後世の誰かを惹き付ける。普通の中に埋没しがちな個性を、淡々と浮き上がらせる。
2017/04/03
ヴェラ
こういう書を愛する自分のなかには、二つの思いが潜在しているように感じる。一つは、自分もまかり間違ったらこのような(道を外れたとか、闇街道の意)を歩んだかも知れないという恐れ。もう一つは、結局は無難な道を選んでしまったが、本当はこのような破天荒な人生をこそ生きたかったという悔いである。
2024/01/23
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