あした来る人 (新潮文庫 い 7-3)
あした来る人 (新潮文庫 い 7-3) / 感想・レビュー
コットン
Nori Shampさんのおすすめ本。井上さんの既読本は『氷壁』のみでしたがこれもいいですね。4人の男女の物語のようで、実際はゆったりとした眼差しで若者を見ている老実業家の梶大助の物語と言えそうです。4人の中では曾根二郎が面白く特に手と足が何本かに見えるカジカ踊りが秀逸です。
2012/09/22
ろこぽん
500ページ超を読み終わったのに、まだまだずっと読んでいたいと思うほど作中に引き込まれました。最後、梶大助が杏子に対し「自分がこの娘にしてやれることは何もないようだ。あるとすれば自由にしてやることだけだ。知らず知らずのうちに、自分は杏子を縛っていたかも知れない。」と思うところ、悲しいシーンではないのに涙がでました。読了感が心地いいです。出てくる人、みんな善人。善人たちの平凡な恋愛の物語。
2021/10/15
カモノハシZOO
続きが気になって、最後まで読んでしまった。40年近く前に読んだはずなんだけど、さっぱり憶えていない。最後だけかすかに、なんとなく。特になんて事のない、こんな井上靖が心地よい。
2021/08/08
ハヤシマ
先日手にした「魔の季節」でけっこう満足したので、図書館の書庫から出してもらって読みました。男女二組のエックス関係の恋愛ドラマなんだけど、いわゆる昼ドラっぽい設定で実に面白い。昭和30年代の銀座の様子もいい雰囲気です。昭和30年〜50年ころの純文学作家がものにした「中間小説」「通俗小説」のなかには余興とはいえ手練ており、エンタメ精神に溢れていて楽しいものが多いと思います。
2013/08/18
sawa
☆☆☆☆ 川島雄三監督の映画がものすごくよかったので読んだが、自分の読みが浅いのか、映画の方がずっといろいろなことを感じられた。映画より先に読んでいれば、もっとこの本を楽しめたのかもしれない。長い作品だが、サクサク読めるのは、(映画のせいもあって)登場人物が頭の中で想像しやすかったからだろうか。みんなそれぞれに不幸を抱えているのに、最後の梶による彼らは「あしたくる人」なのだという感想によって、明るい未来が想像できるところがいい。(図)
2011/01/26
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