夏草冬涛 (新潮文庫 い 7-18)
夏草冬涛 (新潮文庫 い 7-18) / 感想・レビュー
アイシャ
何十年ぶりかで読んでみた。内容は全然覚えていなかった。時代は大正。中学三年生から四年生までの少年の成長物語。事情があって親と離れて暮らしている洪作はそんなことをあまり深刻に考えていない自然児。三島、沼津、湯ヶ島といった風景も美しく、とりたてて目的も持たず生きている少年の生活を瑞々しく引き立てている。思い切り自然と遊ぶお休みの情景は微笑ましい。魅力ある友人たちとの会話もおもしろく思わず笑ってしまうことも。登場する女性たちも魅力的だ。やはりとってもいい小説だと思う。
2020/05/02
K
(1970)1964-5に産経で連載。息子2人の恩師から「浜松、沼津が書いてありますよ」と紹介された。そうそう三島こんな感じ!千本浜行ってみたい。先輩への憧れ、子供から受ける羨望と世話、祖父母、伯母らの人間臭さと受ける愛情、ヘタに異性とのやりとりを回収しない点、泣けるし、笑えるし。いい本だったなー。「きらきら」という言葉が10回ぐらい出てくるが、青春手前の輝きが伝わる名作。自然や景色も美しい。自分のこと(洪作)を良く書けない著者の葛藤は、最後の方の金枝の言葉で晴れたと思う。いいヤツだったんだな井上靖って。
2022/02/14
ヤマ
ようやく読み終わった。読んでいるとどうしてこうもこの年頃の男子はいたずらばかりするのか、なかなか理解難しいが、それをやらずにいられないのだろう。実家に帰ると年下の子達に親分のように慕われ、学校ではやりたいことを自由に堪能する憧れの先輩がいる。何でもない少年時代だが全てが一大事のようなそんな日々だ。
2022/01/28
yokkin
洪作はどんどん、成績は下がる一方だが、イケテル仲間達との青春は自由で本当に楽しい。 遠慮がないところも面白い。 友達にフランス料理をご馳走になる所は吹き出してしまった。
2021/09/22
kaikoma
昭和に購入して以来何度も読み返していますが、毎度笑える作品は数少ないと思います。主人公が成長した分、前作より会話のやり取りが面白いのも特徴です。旧制中学の生徒たちの自由闊達な生活、異性や外国への憧れや畏怖…100年前の青春にもほろ苦さは有りますね。
2020/09/24
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