西域物語 (新潮文庫 い 7-22)
西域物語 (新潮文庫 い 7-22) / 感想・レビュー
aponchan
作者と表紙に惹かれて読了。作者の歴史物語は数作品読んだ事があるが、西域への想いと知識には脱帽。現代も紛争が絶えない地域を含んでいるが、長い歴史の中では現在の状況もその一部という所かも知れない。いつになったら、無駄な破壊をしなくなるのか、チンギスハンにでも聞いてみたい。
2020/11/06
TheWho
敦煌や蒼き狼、桜蘭と著者の支那西域物語の舞台となった中央アジアの西トルキスタンの民族興亡の歴史と、アフガニスタン紀行の二章の紀行文。アレクサンドロソス、匈奴、支那、イスラム、蒙古と侵略と興亡の西トルキスタンの歴史を辿りながら著者が訪れた60年代の現地と交錯する紀行文であった。しかし民族の興亡と戦乱の歴史に晒されなながら平和な60年代当時の現地を対比しているが、その後ソ連侵攻、タリバン等イスラム過激派、米侵攻等戦乱渦巻く現在を鑑み中央アジアの興亡の歴史が今も繋がっていると考えさせられた一冊です。
2015/10/03
さっと
ものすごく久しぶりに井上靖さん。コロナ禍のステイホーム推奨期の暇潰しに「紀行 文庫」で検索かけて引っかかった一冊。西域の魅力は紀元前からの悠久の歴史にあって、ひとことで言うとロマンに尽きるのだけれど、なにもかも破壊つくしたモンゴルの侵攻など目の当たりにすると、壮絶な砂漠の歴史に息をのむ。歴史書に残る古都、探検家の冒険の足跡、権力者たちの野望と名もない民の悲喜劇、なにものも語らず砂漠に埋もれる遺跡。廃墟探訪にひかれる男の子の気持ちがわかる。イシシクル湖の湖底に沈んだ都なんて垂涎もの。
2022/08/27
Yasuhisa Ogura
ウズベキスタンやタジキスタンなどの西域とよばれる地域の紀行文。今年の夏に訪れたことから講読。現在のサマルカンドなどの街は美しいけれど、その背景となる歴史を理解することは難しかった。本書は、その複雑な歴史や遺跡の物語をわかりやすく伝えてくれる。それは、著者の彼の地への思入れの深さだと思う。興味深いのは、使われている写真。著者が訪れた50年前のものであり、修復される前の遺跡の姿を見ることができる。旅行のガイドブックとしても、読むべき作品。
2019/10/21
y_u
作者のほかの作品に比べると、中央アジア/シルクロードが持つ魅力に作者自身が虜になっている様子が文章からも伝わってきた。 東は中国と接する地域から西はウズベク共和国/アフガニスタンまで広範な地域の紀行記となっている。 民族の興亡や侵攻、栄華や衰退が目まぐるしく行き交い、また7000m級の山々に覆われ、気候も厳しい地域である。 一度行ってみたいと思う地域ではあるが、今も昔と変わらず紛争の絶えない地域であり、1960年代であったため、アフガニスタンにも取材に訪れることができたのかと感じた。
2014/01/26
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