夏草冬濤 (下) (新潮文庫)
夏草冬濤 (下) (新潮文庫) / 感想・レビュー
SJW
下巻は井上靖の沼津中学3年から4年までの時の自叙伝。自分が高校1年生の夏休みにこの「夏草冬濤」を読んで、友達を引き連れて伊豆湯ヶ島に行き、帰りに土肥を回って帰ったことを思い出した。なぜ土肥なのか思い出せなかったが下巻の最後に洪作たちが行く西伊豆への旅に憧れたものだった。中学とはいえ旧制中学なので自分より年上の登場人物が自由奔放でハチャメチャな言動に自分にはできない憧れがあったのだろう。あすなろ物語にはでて来ない沼津のエピソードがたくさんあり、面白おかしく読了した。
2018/06/07
のっち♬
「俺、もう勉強やめた」自由奔放な文学グループと仲間になった洪作の成績は更に落ち続け、寺に預けられる。このメンバーが実に個性的で、何をやりだすか判らない木部、傍若無人な藤尾の存在感が特に大きく、ユーモア溢れる筆致で描かれている。寺や友人の晩餐会でそれぞれ別の一面を覗かせるところも魅力。友達次第でここまで変貌する洪作の適応能力や大胆さも特筆点で、次々とやってのける型破りな言動には圧倒されるばかり。心配した伯母が彼を叱咤する場面や、柔和な優等生金枝が船の上で「洪作のいいところ」を的確に言葉にする場面も印象深い。
2020/12/26
まさみ
優等生として今まで生きてきた自分と 上級生と付き合うようになり親元で生活してない開放感から少しワルへの道へ入って行きながらも 成績が下がる事は気にかけている自分との葛藤…自分の行動一つで自分のレベルを落として行く事がわかっていながら、あえてその道へ足をいれてしまいたくなる16.17歳ぐらいの男の子の気持ちがたんたんと描かれていました。上級生と付き合う事で 洪作が新たに文学に興味を持ち始めた事が 彼の人生にとって大きな出会いに繋がったのだと思います。
2013/09/09
優希
自由奔放な文学グループと関わるようになり、成績が下がり、遂に寺に預けられることになった洪作。奥手で平凡な少年の前に道の世界が開けるのが眩しかったです。いかに青春に目覚めていったかを爽やかに描き出している味のある作品だと思いました。
2023/02/18
Kiyoshi Utsugi
井上靖の「夏草冬濤 下」を読了しました。 下巻では、三年生の正月に湯ヶ島にある母方の実家に行って、地元の小学生たちと色々と遊び回るところから、四年生になって、沼津にあるお寺に下宿する直前、金枝、藤尾、木部、餅田、洪作の四人で西伊豆に旅行するところまでを描いています。 寺に下宿するようになってからは、「北の海」に描かれていたのか? 今ではうろ覚えになってます。 成績がどんどん悪くなっていくところは、我が事のように感じられました。😅
2022/11/03
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