楽園に酷似した男 (新潮文庫 い 77-3)
楽園に酷似した男 (新潮文庫 い 77-3) / 感想・レビュー
神尾@図書館でバイト中
めくるめく官能を書き綴ったその内容にはもちろんのこと、読点をなくして一気に吐き出される、渦を巻くように迫る文章のせいで息が苦しくなるようだった。ベトナム、韓国、日本の男たちとをまるで蝶のように軽やかに飛んで回るシマコは奔放に見えて良いはずなのに、閉塞した世界に棲んでいるように見えた。これはシマコが本当に愛して求めているのは結局のところ息子ただひとりであることと関係があるのだろうか。
2013/04/17
ken
異国の街の風景と男の描写がすばらしいのひとこと。岩井さんの小説、それも私小説となると性の部分に注目がいくのかとも思うけど、そこをさておいても、ベトナムの多分に水を含んで湿った空気、韓国の乾燥した冷たい空気、淀んで滞留してしかし腐りかけているがゆえに慣れ親しんだような芳香すら漂わせる新宿・歌舞伎町の空気、それぞれの情感が入り乱れ混じりあい、収斂していく様はほんとうに美しい。
2011/05/21
みさき@相変わらずのアレのカタマリ
この文体に惚れた。
2014/08/23
pom
読点を排除してあるので取っ付きにくく正直読むのに難儀し、時間もかかった。かなり官能的な内容だが淡々と進んでいく感じ。ベトナムの彼に比べると影が薄いが韓国の彼が見せる優しさにぐっときた。特にバスタブのくだり
2013/07/27
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