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俘虜記 (新潮文庫)

俘虜記 (新潮文庫)

俘虜記 (新潮文庫)

作家
大岡昇平
出版社
新潮社
発売日
1967-08-14
ISBN
9784101065014
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俘虜記 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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中玉ケビン砂糖

、「文学的価値」のあーだこーだは抜きにして、「野火」よりも「レイテ戦記」よりも断然この本のファンになった、偶然不発に終わった自決用の手榴弾、一生忘れられないチョコレートの味、収容所でのすったもんだ、あらゆることに新鮮な驚き、何かの見えざる力が作家大岡昇平を生み出したのだと思わずにはいわれない、、、

2014/12/08

nakanaka

戦争小説というより記録という方が相応しいような作品で面白いという感想はなかったですね。フィリピンのミンドロ島で俘虜となった作者の体験記で当時のことや俘虜のことについてほとんど知識のない私にとっては勉強になりました。戦時中の日本とは対照的に、作者の大岡さんがいた収容所はある程度の自由や十分すぎる食事や物が確保されていて俘虜たちは堕落しきっていたということに驚きました。また収容所内での飲酒、喫煙、演芸や読み物などの娯楽があったことも印象的でした。戦争の悲惨さを違った形で知ることのできる作品でした。

2017/12/12

Shoji

日本国民が飢えに苦しみ、理不尽な戦火と闘っていた時、俘虜となった兵はどのような生活をしていたのであろうか。 「俘虜となればきわめて残忍な扱いを受ける」、「生きて虜因の辱めを受けず」と叩き込まれ、自殺が美徳とされた時代である。 俘虜は、衣類、食糧、タバコ、日用品は充分与えられ、勤労も奴隷のような役務ではない。 すると、人間とは業腹なものだ。 愛国心に代って怠惰な心が生まれる、物欲が出てくる、争いが発生する。 そんな人間模様を冷静に洞察し叙述している。 これもまた、戦争の一面なのだとつくづく思った。

2016/09/22

Gotoran

太平洋戦争末期、比・ミンドロ島で従軍、病兵として山中に取り残され、捕虜となり、約1年間収容所生活を送った著者の体験がベース。第1部として、「病兵として部隊行動から取り残されて俘虜になるまで」、次に、第2部として、「俘虜収容所での独特な集団行動の記録」、最後に、第3部として、「命が保証された収容所での人間の堕落、エゴイズム、 憐憫、自尊心、阿諛」ーー俘虜となった日本軍兵士たちの歪んだ心理状態が、描写されている。戦争の最中に起きた自己の心情や行動を客観的かつ緻密に分析している著者の冷静さが秀逸。

2023/05/31

たぬ

☆4 30代半ばのおっさんが徴兵されるとは切羽詰まってたんだなあと思ったけども作者より年上のアラフォー兵もうようよ。兵隊って大概「オクニノタメニ ミゴトシンデミセマス」だと思ってたけど全然そんなことはなかった。将校連中はまた違うのかもだけど。働きたくなくてごねる者。部下の遺品をパクる者。気に入りの若い子を侍らす者。自分だけ休んでいるのは心苦しいと傷病かかえつつ働く者。リアルだった。

2022/03/10

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