湿原 下巻 (新潮文庫 か 7-5)
湿原 下巻 (新潮文庫 か 7-5) / 感想・レビュー
wasabi
年齢も生い立ちもまったく異なり、片や再犯の連続で刑務所と娑婆を往き来し、それでも更正の兆しが見えてきた男と、片や上流とおぼしき家庭で育ちながらも精神の安定を欠き、確たる信念もなく学生運動に加わる女。現実的でない恋愛がいつしか成立し、その後あり得ない嫌疑をかけられたふたりは冤罪を被る。加賀さんらしいテーマのもとに、加賀さんらしい展開で没頭させられた。過激派組織や拘置所といった社会の湿原に心ならずも引き込まれていく犯罪者と精神病者をこれほどまで魅力的に描くのはさすがだ。
2014/09/05
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