宣告 中 (新潮文庫 か 7-15)
宣告 中 (新潮文庫 か 7-15) / 感想・レビュー
こばまり
発表は1979年で著者50歳の時。小説を書くにも体力が要るのだと唸る濃密さ。ロシア文学の趣を感じるのは私だけか。いざゆかん下巻へ。
2018/02/07
gtn
閉塞した人間から「暗黒の宗教に回心した信念のある男」になることが殺人の動機であり、実行後、自分は破滅したが「快楽」もあったと述べる他家雄。それを感得と取るかどうかは自由。だがそれはほとんどが思い込み。死刑囚となり、憎んだ母が面会に来たとき、生まれて初めて他家雄の前で涙を見せ、自分は不幸だ、なぜなら他家雄が不幸だからと嗚咽する姿を見る。他家雄に何か新しい感情が芽生える。それを敢えて「愛」と表現するならば、人は愛なしには生きられない。
2023/11/06
風に吹かれて
死刑囚になったから悪人なのか、悪人だから死刑囚になったのか。環境が悪人を生むのか、生来的に悪人として生まれてきたのか。性善説も性悪説も取りたくない、人間と言うものが、そもそも問題なのだ、と私は思っているし、個人が行う犯罪を見るだけでなく、現在の日本や世界の政治・経済を見ても、人間って問題だよなあ、と吐息の毎日。様々な死刑囚が様々に生活し、学者や拘置所の医師たちにも知ったかぶりをする者や誠実に考える者もいる。人間研究の小説だ。
2017/12/23
るか
★★★☆☆中巻では他家雄が刑務所に入るまでの経緯が明らかとなった。近木は精神科医として囚人達の様々な拘禁症状の治療に苦心するが、出口が見えないトンネルを歩いているかのようで鬱屈した気持ちになる。他家雄の「お迎え」が来る下巻がこの物語の枢要となるのだろうか。
2017/04/14
Ryunosuke Moriai
二十数年前に読んだ本の再読。流石に大まかなあらすじしか覚えておらず、ほぼ初読のようでした。下巻へ。
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