東京夜話 (新潮文庫)
東京夜話 (新潮文庫) / 感想・レビュー
Rin
東京を知っていれば、と強く望んだ物語。知っていれば、暮らしていれば、もっともっと味わうことができたであろう短編たち。細い路地にお店など。「クラブ化する日本」で勘違いされた店やモニュメント。「クリスマス追跡」で挑むように乗り込んだ教会。「真夜中の生ゴミ」で収集に向かった地域。「老将軍のオセロゲーム」の古書店にカレー屋。「そこにいるの?」での多国籍料理店たち。ほかにも短編ごとに味わい深い。イヌと先生が歩いた商店街に川べり。カラスたちの遊び場。私達が本を開くと、たくさんの本たちが確かに外の世界を滅ぼしています。
2018/03/02
チアモン
東京かぁ。お隣の千葉に住んでいるけれど、やっぱり東京は遊びに行くところ。住むところではないな。とても不思議な物語だった。短編集ということもあり飽きずにすらすら読めた。いしいワールドとても好き。視点が面白い。「クラブ化する日本」一番面白かった。
2019/05/05
エドワード
東京オリンピック敢行中!暑き戦いも素晴らしいが、SNSを駆使した外国選手のビックリ東京レポートが楽しい。東京はハイテクから江戸情緒までギッシリ詰まった、世界が憧れるオモチャ箱なのだ。私が9年間住んだ東京へようこそ!同世代のいしいさんの目線はほぼ私と同じ。皮肉たっぷりの人々の姿にいちいち苦笑する。宇宙人の原宿、神保町のカレー、クリスマスの渋谷、銀座の考察、池袋の紙袋おばさん、新宿ゴールデン街。何と東京は千変万化な顔を見せることか。行ったことがないのは霞が関の裁判所と巣鴨と湾岸だけ。また行くぜ、愛する東京。
2021/08/05
UK
寓話である。東京の夜を彷徨いながら、妙ちきりんな出来事にふらふらと遭遇していく不可思議エッセイ調の短編集。冒頭の一話では、おい半端したら許さんぞと用心したが、どうやらイケそう、2話目以降は安心して楽しむ。ありえぬ話だけに、一歩間違えばつまらぬ独りよがりになりそうだが、危ういバランスで笑いと哀しさを醸し出している。それはたぶん自分で自分を笑って突っ込む視点がちらほら垣間見えるから。うん、そういう覚悟ならお付き合いさせて頂きましょうか。とは言え、正直期待を下回ったのは残念。短編並みに充実した後書きが面白い。
2014/08/13
ぽぽ
いしいさんの感性が好き。自由で、飄々としている。酒飲みなところも好感度アップ。
2019/12/28
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