ポーの話 (新潮文庫)
ポーの話 (新潮文庫) / 感想・レビュー
オリックスバファローズ
まっさらな心の持ち主のポーが、さまざまな人たちと出会い、彼らとの交流を通して自分にとっての「大切なもの」を知り、新しい人として再生するまでを描いた、これは神話的なスケールの物語だった。
2018/05/28
Rin
どこまでも純粋で真っ白なポー。それは何色にも染まる可能性が秘められているということ。真っ白でまっすぐなポーと出逢う人々。出逢った人たちもポーの影響を受けて、ポーもまた人々からたくさんのことを吸収していく。ポーの成長と変化と経験。そして、どこまでも深いうなぎ女の愛情に天気売りの純真さ。あたたかく、でも残酷で生と死が隣り合わせに存在している物語。命とは罪とはなんなのか、償いとは?ポーとともに翻弄されながらこの世界に浸っていた。女人形の存在とポーの決めた道は本当に深い。泥と海と空、スフスフという音が素敵でした。
2016/06/30
優希
深い世界の中にたゆたう感覚を味わました。温度を感じないのにとろりとした空気の中にいるようです。ゆっくり川が流れるようなファンタジー。優しくて強くて哀しい世界観を堪能しました。
2021/06/10
90ac
登場する人物(動物?)はあだ名で呼ばれるので、まるで童話かお伽噺のような感じを受ける。うなぎ女は人間なのか?、臍の緒はあるのでウナギではない。生まれたポーは人間なのか?、裸なのか服を着ているのかも分からない。しかし読み進めるうちにそのような?は関係なしに楽しめる。タイトルを「ポーの冒険」としてもいいくらい。旅で出会う様々な人々や動物との物語が面白い。泥の川はその中に大切なものを秘めて一切分けへだてのなく「ありのままに」流れる。その底から大切なものを拾いあげるのはポーのつぐないか。何とも不思議な作品でした。
2015/02/14
エドワード
これぞおとぎ話だ。泥の川が流れる架空の街。うなぎ女たちの子として生れたポーの数奇な運命。ポーは手に水かきがあり水中で自在に動ける不思議なヤツ。女好きの泥棒、メリーゴーランド。彼の妹のひまし油。天気売り。風変わりな仲間たちと暮らす街に大洪水が起きる。次いで出会う犬じじ、廃棄物処理屋と鳩レースに興じる女房。天気売りは女人形に姿を変えてポーを何かと助けてくれる。三度目の舞台は海。うみうし娘がキュートだ。どうやらポーは一度命を失うらしい。しかし終わりは始まりにつながる。ポーは再生し、この命の物語は永遠に続く。
2014/12/19
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